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◆ Eaten Alive ダイアナ・ロス with マイケル・ジャクソン (85) ダイアナのために絶頂期のマイケルが参加した曲、そこにマイケルワールドが展開する [楽曲レビュー(コラボレーション)]

                                                       ORIGINAL 2009.6.14Upに加筆
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 これまでもダイアナ・ロスとマイケルの関係性については「ダイアナ・ロスとマイケル」(カテ:マイケルへの想い)という記事や「Dirty Diana」「Remember The Time」の所でも語らせてもらっていますが、今回、1985年にダイアナ・ロスとマイケル・ジャクソンが絡んだ「イートゥン・アライブ」をPick Upします。

「ダイアナ・ロスがジャクソン・ファイブを見出した」その方が、ネタ的にはおもしろい。実際はそうでもないみたいです。しかし、ダイアナがモータウンの社長、ベリー・ゴーディーJrに強力にプッシュしたというのは事実だし、ダイアナがジャクソン兄弟の才能をのばすために尽力したいうのも事実。ダイアナは、才能あるジャクソン兄弟の中でも、突出したものを見せるマイケルの才能にいち早く気づき、それを伸ばそうとあらゆる手助けをします。
 それは、礼儀作法からエンターテイメント業界の流儀、音楽的なことまで。マイケルの感性をのばすため、絵画を見ることをすすめたりもします。マイケルは自伝の中でも、あの(当時スーパースターの)ダイアナが自分たちのために自身の貴重な時間を費やしてくれた事を「どんな恩返しをしてもしたりない」というほど感謝の思いを綴っている。

この曲のジャケットの左下にもマイケル直筆のメッセージがあります。

「偉大なあなたとまた共演できてうれしい。I Love You」と。 

 ダイアナ・ロス、クイーン・オブ・エンターテイメントという呼び名がふさわしい。歌だけでなく、映画でも活躍、ショウビズ界の栄華を極めた1人といってもいいのではないでしょうか。彼女がリードをとったシュープリームスは12曲のNo1ソングをもち、ソロとしても6曲のNo1ソングをもつ。ホイットニーやジャネットやマライアが登場するまでは彼女がR&BのNo1女性アーティストだったと思います。そしてまだ肌の色や性別での差別意識が強かったエンターテイメント業界で女性の地位を高め、後進に道筋も作った。

 ダイアナとマイケルの共演は、モータウンがダイアナ・ロスを主役にし会社をあげて製作したミュージカル映画『The Wizz』での「Ease On Down The Road」(Produced by Quincy Jones、Hot100-41位、R&B-17位)があります。『Off The Wall』の1年前です。
 そして『オフ・ザ・ウォール』の成功の後、マイケルは、ソングライター、プロデューサーとしての才能を開花し始めます。そして、ダイアナをProduceし、ヒット曲をプレゼントするという恩返しができるまでに成長します。それが、82年、マイケルが曲を書きProduceした「マッスルズ」(全米10位)。

SILK ELECTRIC

SILK ELECTRIC

  • アーティスト: DIANA ROSS
  • 出版社/メーカー: FUNKY TOWN GROOVE
  • 発売日: 2014/11/12
  • メディア: CD
 
 マッスルズはマイケルが飼っていたニシキヘビの名前をタイトルにした曲。マッチョでタフな男を求める女性の歌。マイケルとはある意味、正反対の男性像。リリックがマイケルというのも興味深い。スローな曲だけど、マイケルの匂いを感じる1曲。
 シンプルなバックトラックとフィンガークラップがCool。このクラップとマイケルのバックボーカルは、LIVEでの「The Way You Make Me Feel」のイントロのTasteそのもの。ダイアナのシルキーVOICEも魅力的。HOT100で10位。今回、これまでレアだったEXTENDED(6:38)も収録されています。これまたCOOLです。

 
 そして、この「Eaten Alive」です。ジャクソンズのVictoryツアーも終わり、MJのネタがあまりはいってこなかった時期に、ダイアナ・ロスの新作をマイケルが手がけるというニュースを見てめちゃ喜んだ覚えがあります。ぜんぜんありのプロダクションだったので。しかし、やはり超多忙なマイケル、最終的にはアルバムタイトルでシングル曲の「Eaten Alive」のみの参加でした。

 アルバム全体を手がけたのはビージーズのバリー・ギブ。ギブ3兄弟で曲も作っています。なんとバリー・ギブが歌うデモアルバムもあって驚いた。ギブは男性ですが、ファルセットボーカルを得意とするボーカルスタイル。ダイアナのシルキーなボーカルとFitする。

Eaten Alive (2 CD Deluxe Edition) by Diana Ross

Eaten Alive (2 CD Deluxe Edition) by Diana Ross

  • アーティスト: Diana Ross
  • 出版社/メーカー: Funky Town Grooves
  • メディア: CD

 先行シングルとなったこの曲の、ソングライティングとバックボーカルにマイケル・ジャクソンが参加します。バックボーカルといっても完全にマイケルのソロパート。それだけでマイケルの世界観を一気に醸し出しだしています。
 書籍『マイケル・ジャクソン コンプリートワークス』の中で、マイケルの単独バージョンがあるような記載がありますが、この点は否定的な私です。大枠はビージーズサイドが作り上げ、それを聞いて、マイケルが独自のアイデアとボーカルを加えたという印象をもっています。しかしそのエッセンスだけで、曲はバリバリのマイケル色。エッジの効いたけっこうハードなロック色の強い曲です。ダイアナのこれまでの曲とも一線を画す。アルバムもこの曲だけ完全に浮いてる。
 さらにこの曲の12インチも発売され、その仕上がりもすごくよく聞きまくりました。このExtendedやリミックスバージョンのCD音源はなかったのですが、再発されレアなこれらのトラックもすべて収録されたものが発売されています。マイケルのシャウトや「ダッ」というのようなボイスパーカッションがサンプリングされ、効果的に挿入されています。音圧もダイナミックです。シングルバージョンよりこのリミックスの方がさらにマイケル色が強くなっていてマイケルの楽曲のように感じてしまう。

 よく考えてみると、70年代のディスコサウンドで頂点に立ったビージーズと80年代に頂点に立ったマイケルとの共同制作というのはかなりエキサイティングな出来事ではあります。

 オレ的には『スリラー』の頃のマイケルのボーカルが最高だと思っているので、83年から86年あたりのマイケルのボーカルがきける曲は最高です。(『BAD』の頃から、やたらと喉をならす感じシャウトの意識が強くなっていくので)そういう意味でも、ジャクソンズの『ビクトリー』や前にも紹介した兄ジャーメインとの「Tell Me I’m Not Dremin」などこの時期のボーカルは貴重。そしてこの曲でのマイケルのボーカルパフォーマンスは最上級です!
 曲の世界観は、「ハートブレイクホテル」のようなドラマティックな緊張感があります。マイケルのボーカルは最後のところですが、めちゃかっこいい。「Black or White」の転調部分も思い起こさせる。フィンガースナップでアカペラっぽいとこもしびれる。この部分だけでもすごい存在感を見せつける感じです。「Smooth Criminal」「Heartbreak Hotel」が好きな人はこの曲も相当気に入るはず。

 当時の話にもどりますが、客演とはいえ久々のマイケル・ジャクソンが絡んだ曲だし、曲もエキサイティングでかなりヒットするだろうと思いました。しかし、チャート的にはHOT-100-77位/R&B-10位。スマッシュヒット程度になります。
 スプリームス時代をあわせると18曲のNo1シングルをうみだしているダイアナ。ソロとなって1976年の「Love Hangover」を最後にNo1シングルからも遠ざかっていた。そんなダイアナに久々のビックヒットをもたらしたのがCHICのナイル・ロジャースとバーナード・エドワーズ!彼らが1980年に手がけた「Upside Down」は久々のNo1シングルとなり大ヒットします。(ナイルロジャースのProducerとしての躍進の始まりとなる曲でもあった)
 しかし、その後、豪華なProducerやゲスト招いたゴージャスなアルバムも毎年発表するダイアナですが、シングル曲がTop10にも入らないような状況が続きます。そんな中で1985年に絶頂期のマイケルがダイアナ復権の手助けをするべく「Eaten Alive」に参加するのです。
 個人的には、なぜヒットしなかったのかすごく不思議でしたが、あらためて振り返ってみると、新境地の開拓という要素もあったかもしれませんが、曲の世界観がおどろおどろしくてダイアナのイメージに合わなかったのかもしれません。リリックも「生きたまま八つ裂きにされるのは嫌よ、あなたはとんでもなく危険な男。もうだれも信じられないわ」というような感じ。曲の終わりも人が潰されるようなエフェクト音が入っているし。
 ただこのダーク感というかTasteはマイケルにはすごくあう。マイケルがソロで歌っていたら、こんなチャートアクションにはならなかったと思います。マイケル的には、ダイアナにビックなヒット曲をプレゼントできず残念に思ったかもしれません。

 
アルバム全体をみると、ビージーズはとてもいい感じに仕上げてると思います。とにかく「Eaten」が浮きまくってる。大人のラブバラードやスプリームス時代やモータウンを思い起こさせる曲もありダイアナの魅力がすごく出ている。スローの「More And More」はすごくお気に入りです。せつな系のバラードも多く収録されておりダイアナの繊細のボーカルをうまくとらえていてとてもよいです。が、ダイアナがシーンのトップに返り咲くようなヒットにはならず。
 ただ「チェイン・リアクション」というモータウン風のリズミカルな曲が英国で1位になりオーストラリアでも大ヒットしました。私もすごくお気に入り。このアルバムでヒットしたのは、マイケルが絡んだ「Eaten Alive」ではありませんでした・・・

 ただ何度も言うように1985年作の「Eaten Alive」、めちゃくちゃマイケル色を感じる。曲です。マイケルのソロ曲でもよかったと思えるくらい。前年のRockwellの「Watching Me」でもマイケルはバックボーカルに参加しますが、ここでも圧倒的な存在感をみせた。そこだけでもそのボーカルに魅了された。
 この「イートゥン」も同じように圧倒的な存在感とかっこいいVocalを披露するマイケルを感じることができます。85年は『スリラー』も落ち着き、とにかくマイケルの新曲を欲していた所での、ダイアナの客演とはいえめちゃくちゃマイケルを感じれた曲でしたので、とにかくヘビーローテでした。私にとってはこの「Eaten Alive」はとても思い入れの強い曲です。
 

コメント(2) 
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コメント 2

R

はじめまして!
マイケルのブログを探していたら、こちらにたどり着いたので、コメントさせて頂きます。

だいぶ前から、マイケルのブログをされているんですね!
記事を読んでいると、知らない事がたくさん載っているのでとても勉強になります(^^)

マイケルとダイアナが一緒に歌っている曲は最高ですよね。
仲の良い2人なので、聴いていて楽しいです!

私も、最近マイケルのブログを始めたので、良かったら覗いてみて下さいm(_ _)m
by R (2020-03-12 21:52) 

amber35

最近、ツイッターでのやりとりが多く、Blog本体のコメントがなくてさみしい感じでしたが、ありがとうございます。

私は、Rさんよりかなり年齢も上で、マイケルの事を見たり聞いたりしている人生なので、知識としての蓄積はあるんだと思います。Blogはその知識をベースに自分の言葉で書いているつもりですが、そういったものが若い人たちの参考になり楽しんでもらえることはうれしいです。

今回、このマイケルとダイアナの事でこのBlogにたどり着いてもらったんですかね。We Are The Worldでの絡みも素敵ですよね。普通にLove バラードでDuo Songとかもあってもよかったですよね。

RさんのBlog、ご自身の思いが溢れてますね!

by amber35 (2020-03-12 22:33) 

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