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◆ MJ未発表曲、Slave To The Rhythm の謎 マイケル死後アルバム『XSCAPE』(LAリード監修)にも収録 [楽曲レビュー(マイケル)]

                                                                               ORIGINAL 2014.3.15
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 「Slave To The Rhythm」という楽曲をご存じでしょうか?マイケルの逝去後、エピックレコードのCEOに就任していたLAリードが主導して、マイケルの未発表曲をセレクトし2014年5月に発表されたアルバム『XSCAPE』の収録曲なのですが、この曲に関してはいろいろな謎がありました。

Xscape

Xscape

  • アーティスト: Jackson, Michael
  • 出版社/メーカー: Epic
  • 発売日: 2014/05/13
  • メディア: CD

 この曲に関しての最初の記事は、まだ『XSCAPE』の正式発表アナウンスもない発売2ヶ月前の3月に書いたものです。そのきっかけは、当時、海外のソニーのスマートフォンのCMで、突然この曲が使用された事によります。この「Slave」は、こうしてCMや『XSCAPE』収録により公になるわけですが、表に出るまでとてつもないクオリティーの曲として一部のファンの中で話題になっていました。いったいいつ誰と作られた曲なのか?未発表曲なので公式な情報もあがってなく、出版された書籍の中での内容も誤っていたりと、情報が錯綜していました。
 今となっては結論は出ているのですが、当時の推測と『XSCAPE』発表によって明らかにされた事実にたどり着くまでの流れを記した記事です。前回、紹介したジャーメインとLA&BABYFACEの『Word To The Badd』の内容にも絡んでいます。
 


 ネットでは2010年辺りからこのリーク曲についてふれていました、マイケル・ジャクソンの未発表曲は、けっこうな数がリークされネット上にあふれています。なかなか複雑な思いはあります。MJは完璧主義者だから、自分の納得いかない作品を世に出す事、リークされる事は基本望まないはず。
 しかし、『Invincible』期の録音とされている「Slave To The Rhythm」は、相当のクオリティーの楽曲です。基本、リーク曲に関してはとりあげないスタンスでしたが、今回、未発表曲にも関わらず、海外ではソニーのスマートフォンXPERIAのCMに採用され公開されている。
 曲のミックスは、Timbalandがしている感じ。ティンバらしいミックスでかっこいいけど、原曲の方がメロディーとグルーブがより際立っている。
 
 というわけで実は、前からとりあげたくてしょうがなかったこの曲について。

 マイケル・ジャクソンのヒット曲をはじめとする楽曲は数多くありますが、個人的にマイケルの匂いがプンプンする神曲的な域にある曲は、やはり「Beat It」「ビリージーン」なのですが、この「Slave」は(個人的には)その辺の匂いを感じる位のクオリティーの曲なのです。このCMでも、聞いただけですぐにマイケル・ジャクソンだってわかると思います。
 ここでおれがいう匂いっていうのは分かってもらえる人にはわかってもらえると思うのですが、曲のグルーブとマイケルのボーカルパフォーマンスが絶妙に融合し、マイケルしかだせない空気感を作っている曲。

 『Off The Wall』はアルバム全体にマイケルの匂いが充満している。
 『BAD』の中には、ここまでのマイケルの匂いを感じる曲は正直なかった。「Another Part Of Me」が近いかな。
 『Dangerous』は、TeddyのGrooveの方が強くて、マイケルの匂いが薄れてた。
 『History』にもなかった。「They Don't Care About Us」がちょっと匂うか。「Stranger In Moscow」はビンビンにマイケルの内面を感じたけど。
 「Ghosts」は久々にマイケルの匂いを感じる曲だった。テディーとのバランスも最高だった。
 『Invincible』の「Unbreakble」と「You Rock My World」もマイケルの匂いを感じたけど、全盛期のボーカルがそこにはなかった。楽曲的には最高なんだけど、ボーカル力が最高レベルでなかった。
 しかし、この「スレイブ」はこの『インビンシブル』期に制作されたとは思えないくらい、MJのボーカルに張りと伸びがあり、まさにリズムの奴隷のごとく最高のグルーブで歌うマイケルがいるのです。最初にこの曲を聞いたときの衝撃は久々でした。一聴しただけで、すぐにマイケルワールドへTripした。さらになぜこんなクオリティーの楽曲がアルバムに収録されていないのかと!?
 曲も、will I amっぽいブラック・アイド・ピーズ風のエレクトリックGroove。マイケルは実は生きていて、どこかで秘かにレコーディングしたのではと思う位新しい。最初にリークにされたのが2010年だったそうです。最近では、ジャスティン・ビーバーがこの曲に勝手に絡んで発表し、完全OUTをくらったみたいだけど、よけいな事するなよって感じ。こんな目立ちがり屋の若造がからむと曲の良さが台無しになる。この曲は通しでマイケルが歌いきるべきだし、そもそもDUOを想定した曲ではないでしょう。
 さらに謎なのが、この曲の製作者。
 当初、『Invincible』期という事で、ロドニー・ジャーキンスとの製作といわれていました。個人的には、全然ロドニーっぽくなく、will I amっぽいと思っていましたが、2012年に日本でも発売された『マイケル・ジャクソン-コンプリート・ワークス-』の中でこの曲の紹介があり、なんとジミー・ジャム&テリー・ルイスとの製作だと。そして長年、マイケルはこの曲に手直しを加えていたという。

マイケル・ジャクソン コンプリート・ワークス
ジョセフ・ヴォーゲル
ティー・オーエンタテインメント

 最後に手を加えたのがトリッキー・スチュアートだと。
 表に出ているバージョンは、デモという扱いだけど、ほぼ完成されている。ある意味シンプルなエレクトリックグルーブが、マイケルのボーカルの良さをフューチャーしている。
 
 マイケル・ジャクソンとジミー・ジャム&テリー・ルイスとは95年の『History』期についに共演する事となり「Scream」という大ヒット曲も生んだわけです。

 ジミー・ジャムが、当時マイケルとのレコーディング秘話を語っている記事がありますが、その中でMJのために4から5曲のTrackを用意したと。
 その中の一つが「Scream」となり、もう1曲がジャネットのベスト盤の新曲として収録された「Runaway」になったと。最初は、リリックも曲名もついてなく、インストだけのトラックだったのでしょうが、もしかしたらマイケルが「Runaway」となった曲を歌う可能性があったというのは興味深かった。
 他にも、MJとジャム&ルイスは、『History』収録で、「Tabroid Junkie」と「History」を制作しています。
 その後発表されたリミックスアルバム『Blood On The Dance Floor』収録の「Is It Scary」もJam&Lewisとの共作。
 そして「Slave」も既にこの頃原型ができていた曲だったのかもしれない。
 ジャム&ルイスの楽曲を聞きまくってる私ですが、「Slave」がジャム&ルイス製作とはほんと驚いた。でもまだ100%の確証はもってないけど。その辺の真偽を知りたい。
 けどそれはわかるかもしれません。
 
 CMとはいえ、公式にMJの曲が使用され、MJエステートとソニー側も今回の楽曲使用に関して「興奮している」というような前向きなコメントを出している。

 これは以前から噂されているMJの未発表曲アルバムの第2弾の発売のプロモーションもねらってるかもしれない。もちろんこの「Slave」も収録されるのでは。
 
 前回の『Mchael』には、ほんとにマイケルの声なの?という疑惑もあがりましたが、未発表曲でも、この「Slave To The Rhythm」のように一聴しただけでマイケルとわかる楽曲で今度のアルバムは出してほしい。
今後の展開に期待です。

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(追記 2014.5.21)

 この記事を書いた2014(H26年).3.15ってまだ『XSCAPE』が出るという発表は一切なく、CMで「Slave To The Rhythm」が使用されたという事でとりあげたわけですが、今後の展開に期待!がまさに『XSCAPE』に続いていたとは!!

 で、コンプリート本にも記載があった「スレイブ」がジャム&ルイス制作ではなく、当時のライバルProducer、LA&BABYFACE産だったという大ドンデン返し。
 さらに『インビンシブル』期の制作と言われていましたが、91年の『DANGEROUS』期のものだったと。だからボーカルの勢いが違うんだ。ボーカルがよみがえったわけではなかった・・・
 
 『DANGEROUS』期に、Teddy Rileyをメインプロデューサーにおいてアルバムを制作していたMJでしたが、同時期、兄ジャーメインとレコーディングの真っ只中だったLA&BABYFACEを招集し、怒りのジャーメインが「Word To The Badd」というマイケルへのメッセージソングを作り、あれほど強く結ばれていたジャーメインとマイケルの間に亀裂がはいったわけです。(後に修復はされますが、この時双方が特にマイケルは相当心に傷をおったと思います)


 でさらにLAリードとBABYFACEはジャーメインとのレコーディングを中断してまでかけつけたのに、結局その楽曲は『DANGEROUS』に収録されませんでした。
 その楽曲の存在は、ず~~と気になっていました。
 それらの楽曲はジャーメインの『You Said』にも流れたのかとも思いましたが、「Slave To The Rhythm」がその時の曲だったとは!!!
 結局、LA&BABYFACEとは、時間もないしそんなに曲は作らなかったのではと思います。それこそこの「スレイブ」のみだったのかもしれません。完成度は高い。
  LA&BABYFACEによるオリジナルバージョンは、一聴してLAFACEって感じはしなかった。ちょっと、前年1990年にLA&BABYFACEが初めてHOT100で1位を獲得したホイットニー・ヒューストンの「I'm Your Baby Tonight」の雰囲気に似ているかもしれない。
 レコーディングエピソードで、マイケルは納得がいくまで何十回とこのエネルギーのいる曲を歌いきったといいます。このボーカルのグルーブもすごい。

 しかし、最終的にこの「Slave」は『DANGEROUS』に収録されないという、ある意味屈辱をLA&BABYFACE側は味わうのです。後に、経営の方でも手腕を発揮し多くの成功を手にするLAリードですが、この時の事は忘れていないと思う。
 
 こうしてオリジナルバージョンを聞くと、『DANGEROUS』のコンセプトにはあわない気がする。アルバムのバランスを考えて外されたと思われます。
しかし、マイケルはこの曲の存在はずっとどこかにあったのだと思う。
 今回わかった事ですが、この曲はロドニー・ジャーキンスも魅了されたみたい。ロドニーがこの曲にどれだけ関わり、手直ししたかは不明です。今回、公式に出たアルバムはTimbalandが彼の得意とする“チキチキ”バージョンをさらに今風にして仕上げた感じですが、この曲の良さを最高に引き出しているのはトリッキーによるエレクトリックバージョンだと思う。このバージョンは多くの人を魅了したはず。未だに公式に発表されないのは残念。「Slave To The Rhythm」の謎、ようやくとけた感。


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