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◆ マイケル・ジャクソン BILLIE JEAN (ビリージーン)の魅力をとことん掘り下げる [No1ソング]

                                       OROGINAL 2008.8.10upに大幅加筆

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 『スリラー』からの2ndシングルで、マイケルにとって4枚目のNo1シングルとなった「ビリージーン」について(今さらながら過去の記事に肉付けして)掘り下げます。けっこうなボリュームになりました。
 ファンの間でもマイケルのベストソングとして挙げる人も多い。実際、過去に各国のファンが選ぶ『KING OF POP』の企画がありましたが、その選曲の中でも「ビリージーン」が軒並み1位。日本国の選出でも1位だった。ちなみに各国のランキングを指数化して抽出してみたのですが、ベスト5は以下。

   1位 Billie Jean (83)  from『Thriller』
 2位 Smooth Criminal (88)  from『BAD』
 3位 Black or White (91)   from『DANGEROUS』
 4位 Beat It (83)     from『Thriller』
 5位 Man In The Mirror (87)  
from『BAD』

 圧倒的に「ビリージーン」の人気が高い。
 USAのビルボードチャートでは、7週連続1位。1983年の年間チャートでも2位(1位はポリスの「Every Breath You Take」)。マイケルの歴代ヒットシングルの中でも「Say Say Say」に次いで2位。
さらに2009年、USAだけではないマイケルのヒット曲の全世界セールスのランキングも発表され、「ビリージーン」が530万枚で1位とマイケルの代名詞にもなっている楽曲なのです。

 楽曲の評価的には、プロの音楽家が選ぶグラミー賞で「最優秀R&Bソング」と「最優秀R&B歌手」を受賞。R&B部門を完全制覇です。さらに最優秀インストゥルメンタルにノミネート。

 みなさんの「ビリージーン」との出会いってどんな形だったのだろう?
 各方面の音楽家からも高い評価も得ている曲ですが、マイケルの代名詞となっている「ムーンウォーク」が披露されたモータウン25でのステージパフォーマンスが出会いの人も多いと思う。私も『Making Of Thriller』(← ビデオ)に収録されているこの伝説のステージで「ビリージーン」に初めて触れ「ビリージーン」は耳より目から入った一人。
 「百聞は一見にしかず」という言葉があるように、目から入るインパクトは大きい。あのモータウン25でのダンスとボーカルが絶妙に融合した「ビリージーン」のステージは伝説だし、こういうスタイルで表現できるアーティストはマイケルしかいないともいえる。ただ目からの情報が強すぎて、サウンドやボーカルの魅力が置き去りにされている面もあるように思うので、そこも含めて掘り下げていきたいと思います。
 

①  ビリージーンはマイケルの内面的な世界観とこれまで吸収してきた音楽観が表現された曲

 「ビリージーン」は、マイケル・ジャクソンの作詞、作曲です。マイケルは踊りが超絶なのでダンサーのくくりで見られることが多いですが、いってみればシンガーソングライターでもある。それまでも魅力的な曲を書いていますが「ビリージーン」はそのライティングの才能がスパークした感じです。明るい曲調では無くマイナーコードのちょっと陰のある楽曲がマイケルワールド全開です。
 そして、ブルース感もある。ソロのマイケルにブルース色を感じる楽曲は意外と少ない。ジャクソン5の時の映像でもよくみる「Who's Loving You」のボーカルはブルース感もありソウル。クリス・コーネルというロック系アーティストが「ビリージーン」をカバーしている。

アイ・ラヴMJ ~ソングス・フォー・マイケル

アイ・ラヴMJ ~ソングス・フォー・マイケル

  • 出版社/メーカー: USMジャパン
  • 発売日: 2009/10/21
  • メディア: CD
*いろいろ興味深い曲が収録のこのアルバムにも入ってる

 こういったアレンジで聞くとブルース色が強い曲なのがわかる。あとイージーリスニング系での「ビリージーン」を聞くとソウルというよりブルースっぽい雰囲気をやはり感じる。
 マイナーコードの曲を好むと思えば「Heal The World」や「We Are The World」、「People Of The World」(J-Freinds提供)のようなメジャーコードの曲も書くマイケル。
 
 曲のテーマとしては、グルーピー(有名人と親密な関係を望む追っかけ、今で言えば一線を超えたストーカー的なファンという感じか)をテーマにしている。ビリージーンという性的関係を結び子供を身籠もったと主張する架空の女性をテーマに「ビリージーンは僕の恋人じゃない」と切実にクールに歌う。当初「Not My Lover」というタイトルで呼ばれていたそうだけど、マイケルは「ビリージーン」にこだわった。「Not My Lover」というタイトルもCoolでアダルトな感じはするけど「ビリージーン」という架空の女性を登場させることで、ファンタジー感とミステリアスなドラマ性も生んだように思う。

トライアンフ

トライアンフ

  • アーティスト: ジャクソンズ
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2016/08/03
  • メディア: CD
 
 マイケルが好むちょっとミステリアスでダークな世界観は1980年の「Heartbreak Hotel」にその原点を見いだすことができる。「ハートブレイクホテル」は兄弟と制作した『トライアンフ』の収録曲で、アルバムの中でのハイライト曲でもあった。ジャクソンズとしてのシングル曲で、R&B-2位(HOT100-22位)のヒットとなります。ジャクソンズ名義ですが、マイケルによる作詞、作曲です。その後も、ジャクソンズのツアーやマイケルのソロツアーでも欠かせない楽曲となっていました。
 ストリングスによるイントロから女性の悲鳴でスリリングに曲が始まる。ハートブレイクホテルと呼ぶ場所を舞台に失恋の心の痛みと復讐心をミステリアスに歌います。曲中にもいろいろな効果音が加わりドラマ性を高める。こういうマイナーコードのダークな世界観はマイケルは好きなんだと思う。しかし、ダークなまま終わるのは精神衛生上よくないというマイケルの思いで、最後は明るい曲調で終幕させます。この終わり方もドラマ的です。
 このマイケルの世界感全開のこの曲が、ソロ作ではなくジャクソンズのアルバムに収録されているのは個人的には違和感があります。実は『オフ・ザ・ウォール』の候補曲にもなってたのではないかと思うのですが、アルバムの楽曲バランスを考え、クインシーによってはじかれたんじゃないかと思ったりもする。
 
  そして、マイケルは後に『スリラー』となるニューアルバムに向けて楽曲制作に励む。自伝『Moon Walk』によると、この曲の原型は1981年にできたよう。ベースラインの面白い曲を書こうと思っていたマイケルは、ドライブ中にベースラインとメロディーを思いついたと。あまりにも夢中になりすぎていて、車から(なぜか)出火している事にも気づかず、他のドライバーが教えてくれなかったら大惨事になっていたって。こうして夢中になって出来上がったベースラインを軸に「ビリージーン」が出来上がります。
 80年代いい曲をたくさん生み出した白人と黒人のコンビ、ホール&オーツによると、マイケルから、自分たちの「I Can't Go For That」(No1シングル)のベースラインをヒントにさせてもらったと言われたらしい。あの「We Are The World」のレコーディングの時。(ホール&オーツはソロパート受け持ってなかったな~ )

プライベート・アイズ

プライベート・アイズ

  • アーティスト: ダリル・ホール&ジョン・オーツ
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2013/07/24
  • メディア: CD

 ダリル・ホール自身は、そんな感触は持ってなかったそうだけど、わざわざ律儀に自分たちに伝えてきたマイケルはクールだったと評してる。私も「Go For That」と「ビリージーン」、特に結びつかないな~。
 「ハートブレイクホテル」の続編的な感触もある「ビリージーン」。イントロのメロディーは、ベースのリズムラインに合わせてマイケルが静かに歌い出す。そして転調し、一気にメロディアスでドラマティックに苦しさもまじえて歌い、高まって高まっておちてサビのメロディー。一種のエクスタシー感ももつ。
 この後も、こういったミステリアスなダークメロディーは「Dirty Diana」(『BAD』収録)、「Who Is It」「Give In To Me」(『Dangerous』収録)と続いていく。(あとレア曲「Mind Is The Magic」のメロディーもこの世界観) でもやはり「ビリージーン」が最高峰。 
 
 そしてこの曲の歌詞もマイケルは考える。
ファンを大切にするマイケルだけど、度を過ぎたファンにはマイケルや兄弟たちも悩まされていた。
  マイケル本に載っていたけど「ビリージーン」のモデルになった女性が、それも超有名な女性がいたという。それが1984年のビクトリー期、長男のジャッキーと不倫関係に陥っていたポーラ・アブドゥルだった。バスケ大好きでNBAも目指せる程の才能だったというジャッキー。お気に入りチームのレイカーズのチアリーダーをしていたのがアブドゥルだった。マイケルも加わったビクトリーツアーの専属振付も担当し、それをきっかけにジャネットの振り付けもオファーされ大ブレイクの一端を担った彼女だ。実際、彼女はジャッキーの子を妊娠し中絶したともあった。(←真偽は不明)

あいつにノックアウト

あいつにノックアウト

  • 出版社/メーカー: ヴァージン・ジャパン
  • 発売日: 1995/06/28
  • メディア: CD
☆4枚のNo1シングルも生まれメガヒット

その後、妻のイーニッドとの間には相当な修羅場もあった模様、最終的には二人は離婚する。ジャッキーは、アブドゥルと結婚を望んだかもしれないけど、アブドゥル自体アーティストとして大ブレイクしジャッキーを相手にしている暇はなかったと思われる・・・ジャッキーとアブドゥルは完全に不倫関係で、「ビリージーン」のリリックのように、アブドゥルがつきまとったという感じはしない。
 ただ、こういった兄たちが引き起こす女性問題はジャクソンファイブ時代からマイケルは見ていた感じ。上の3人、ジャッキー、ティト、ジャーメインは気に入ったグルーピー的なファンを部屋にいれていたらしい。(ティトもそんな事してたの~ってちょっと思った)こういった出来事が、この曲の制作に強烈なインスピレーションを与えたというのは想像に難くない。後に「Dirty Diana」(『BAD』収録)もグルーピーをテーマにしているとマイケルはふれている。でも兄たちの行為は、少年マイケルにとってはいい影響を与えなかったと思うけど、その後も健全に成長してくれてよかったと思う。
 あと、マイケルのもう一つのねらいがゲイ疑惑を払しょくする点にもあったという。(当時はマイノリティーへの理解は低かった)中性的なマイケルは、ゲイにも人気があったしゲイ疑惑もあった。セックス的な匂いも含ませることでマイケルの男性感を強めた。それは次のアルバム『BAD』でさらに増していく。
 
 グラミー賞の主要部門の一つ最優秀楽曲賞は優れたライターに授与される。「ビリージーン」は83年度の最優秀楽曲賞にノミネートされています。さらにすごいのが3rdシングルとなるマイケル作の「Beat It」もノミネートされるという。グラミーのこの部門で同じ作曲者で2曲がノミネートされるってあまり記憶にない。結果は、スティングのこれまた名曲「Every Breath You Take」が受賞することになります。でも逆に2曲にノミネートされたことで票が分散した可能性もある。最優秀レコードには「Beat It」のみのノミネートとなりましたが「ビリージーン」は最優秀レコードの受賞もできるレベルの楽曲だったと思います。そして「Beat It」が、グラミー最高峰の最優秀レコードを獲得します。 
 あらためてマイケルはライターとしても最高級である事がこの「ビリージーン」で感じれます。


② 
ビリージーンをインストゥルメンタルとExtendedで聞こう。魅惑のベースラインとスネアドラムにますます魅了される

 「ビリージーン」をマイケルのボーカルが入っていないインストで聞いたことがある人はどれくらいいるのだろう?ファンの中でも積極的にボーカルの入っていないインスト曲を聞く人は少ないと思いますし、ヒット曲のインストバージョンがリリースされていることも少ない。大ヒット曲ほどやはりインストゥルメンタルの完成度は相当なもので、インストだけでも十分聞き応えもあるという。CD音源はこのアルバムだけだけど、12インチレコードはExtendedとインストが収録されていて入手しやすいと思います。

マイケル・ベスト・ヒット・カラオケ

マイケル・ベスト・ヒット・カラオケ

  • 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
  • 発売日: 1996/12/01
  • メディア: CD

☆「ビリージーン」だけでなくインストトラックを収録した聞き応えあるレアアルバム。

  特に「ビリージーン」は、グラミーの中でも最優秀インストゥルメンタルとしてノミネートもされています。きっちりノミネートしているグラミーはやはりプロ中のプロが選ぶアワードだなと思う。
 エンジニアのブルース・スウェディンも「いろいろな音を何本もの糸のように集められて作られた」の述べているように、隠し味というか、ストリングスを含めいろいろな音や効果音が随所にちりばめられています。クインシーが言うには、実際に聞こえないような音もあるそうだけど、それはそれで絶妙な効果をうんでいるという(デジタルホーンの所の模様)。ただバックの音がいかに凝っていようが、主役はあくまでもマイケルの歌声やバックボーカルです。バックトラックがうるさすぎず最小限におさえられているからさらにマイケルのボーカルが引き立たされるというつくりなのです。この曲だけではなく『スリラー』の全曲をミックスしたスウェディンは、グラミーで
最優秀エンジニアを受賞する事になります。
 
 「ビリージーン」の魅力の中心となるベースラインを演奏するのは『オフ・ザ・ウォール』の時に大活躍のルイス・ジョンソン。ルイスは、自身の所有するベースで演奏を聴いてもらい、最終的にマイケルは分厚い音のヤマハのベースを選んだという。さらにキーボード奏者のグレッグ・フィリンゲインズによるシンセベースを重ねている模様。それでさらにぶっといベースラインの感触になっているのかも。
 「ビリージーン」はベースラインが魅力的な楽曲ですが、マドンナのこれまたメガヒット曲「ライク・ア・バージン」を聞いたとき、「ビリージーン」のベースラインに似てるって思いました。「バージン」は明るい曲調なので、一見結びつかないかもしれませんが、個人的には似てると思ってる。プロデューサーはナイル・ロジャース。ナイルに「ビリージーン」意識したの?って聞いたみたい。

 次に、注目したいのがドラム。「ビリージーン」のドラム、実はそうとうこっています。ふつうに聞くと、生ドラムっぽい感じがましますが、普通にドラムを叩いても(実は)このスネアの響きは出せない。生ドラムとドラムマシーンをうまくミックスさせてこの切れ味のよい響きを出している。出まわっている初期のデモバージョンでは、当時流行のドラムマシーンでドラムスを作っていた。あのいかにもドラムマシーンという感じもある響きでは「ビリージーン」の魅力は半減したと思う。この抜けのいい気持ちよさも感じるドラムスは他の楽曲でも知らない。ベースラインで紹介したマドンナの「ライク・ア・バージン」のドラムは、CHICのトニー・トンプソンが叩いてるけど、あれはほぼ生ドラムだと思う。あのドラムも小気味よくて気持ちいいけどあれが生のグルーブの限界だと思う。
 このビリージーンのドラムスをまねている曲がある。アリーヤの2nd『One In A Million』収録の「Got To Give It Up」です。

 
One in a Million

One in a Million

  • アーティスト: Aaliyah
  • 出版社/メーカー: Wea/Atlantic
  • 発売日: 1996/08/19
  • メディア: CD


 この曲は、マーヴィン・ゲイの77年のNo1ヒットのカバー。ファレル・ウィリアムスがロビン・シックに「バーナード・ライン」として制作した際、盗作騒動が起きた曲。このグルーブ感が人気なわけですが、そのグルーブに「ビリージーン」のドラムを導入している感じでおもしろい。ただ「ビリージーン」のサンプルクレジットがないので、サンプリングしたのではなく、Createrが苦心して生み出したのだと思う。
 当初「ビリージーン」のドラムはドラムマシーンを使うつもりだったようですが、最後の最後にブルース・スウェディンがこの融合ハイブリッドドラムに差し替えたようです。「ビリージーン」はベースラインももち重要ですが、このドラムスなくしての「ビリージーン」も考えられない。このベースラインとドラムスで「ビリージーン」はもうヒットは約束されたものだと思うのですが、さらに絶妙な隠し味が加えられます。
 
 言われて気づく人もいるかもしれませんが、ベース、ドラムの後にストリングスが始まり、ストリングスを追うようにマイケルの苦悩しているようなボーカルがはいってくる。これまであたりまえの展開なので言われたらたしかにと思うとおもうのですが、このストリングスも曲に緊張感を持たせドラマティックに仕上げています。アレンジは、ジェリーヘイ。彼はマイケルの楽曲のアレンジに多大な貢献をしている。ストリングスのない「ビリージーン」もありえない。
 リリコンという電子管楽器も使われている。小さめなトランペットのような音だと思う。リズムギターのグルーブもいい。

 そしてマイケルのバックボーカルも多種多様。定番の「フゥ~」から「ヒィー」からどんだけ雄叫びあげたんだって思う位。150cmの筒を通して歌ったという箇所は、ここかな~と想像したり。喉でならす感じも楽器のように独特のグルーブ感もうむ。こうした隠し味的な演出も満載の曲なのです。「ビリージーン」のインストを聞いてまた本編を聞くと楽しさ倍増です。ただこうした効果音とバックボーカルはそこまで出過ぎることもなく絶妙でナチュラルな挿入具合。
 
 さらに「ビリージーン」にはExtendedバージョンがあります。シングル、アルバムバージョンは4:54ですが、尺を伸ばしたExtendedは6:20あり、約1分半も長い。80'Sに流行ったFloor向けの12inchバージョンですが「ビリージーン」のExtendedもただ尺を伸ばしただけではなくすごく聞き応えがあるし、そもそもマイケルが求めていた形がこれではないかとも思える。通常バージョンもマイケルの歌い出しまで29秒ありますが、Extendedは40秒あります。Producerのクインシーは29秒でも長いと主張した感じですが、当時のCDの収録時間が技術的に長くできていればマイケルはこの40秒を取り入れたはず。ボーカルが始まるまで40秒ってふつうなら相当長く感じると思うのですが、魅惑のベースとドラムでボーカルがなくても聞いていれるって所はある。そしてじらされたところでマイケルのボーカルが入ってくるという。

King of Pop-UK Edition

King of Pop-UK Edition

  • アーティスト: Jackson, Michael
  • 出版社/メーカー: Sony UK
  • 発売日: 2008/09/22
  • メディア: CD
★3枚目はお宝。Extendedバージョンが軒並み収録!音圧も高いし。

 終盤のリズムギターもグイグイ盛り上がっていっていい感じ。Extendedバージョンって、通常、サウンドをいじったり、リミックスしたりすることが多いのですが、「ビリージーン」は通常バージョンにない新録(または削られた)ボーカル部分もあってそこもしびれる。

  さらに余談だと2008年、マイケルの復活プロジェクトとして『スリラー25周年記念盤』が発売。ここでは、ウィル・アイ・アム、エイコン、カニエ・ウェストら当時最高峰のクリエイターが『スリラー』のヒット曲を彼ら流の解釈で再Produce。

スリラー 25周年記念リミテッド・エディション(DVD付)

スリラー 25周年記念リミテッド・エディション(DVD付)

  • アーティスト: マイケル・ジャクソン
  • 出版社/メーカー: SMJ(SME)(M)
  • 発売日: 2008/02/20
  • メディア: CD

 カニエ・ウェストが「ビリージーン」を担当。「ビリージーン2008カニエMix」として登場します。ボーカルは新録ではありません。出だしは、ドラムスでは無くサビのメロディーからで、カニエのRapも入ってヒップホップ的。ビリージーンのダークでメロディアスな部分を感じる仕上がりで、これはこれでありかな。ただオリジナルを超えるという仕上がりは難しいでしょう。今なら、マイケルのダーク感が大好きなThe Weekndに「ビリージーン」仕上げて欲しいな。

③ マイケルの最初の本格的Music Videoとなった「ビリージーン」、この曲でMTVに黒人アーティスト枠を認知させる。その陰にはプリンスの存在もあった

   歴史的アルバム『スリラー』では3本のビデオクリップが制作されましたが、MTVでのプロモーションを視野に入れて制作されたの最初のMVが「ビリージーン」です。

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 1981年にワーナーの資本をバックに、音楽ビデオだけを24時間流す有料のMTVがはじまります。音楽と映像が結びついた新たなエンターテイメントの幕開けとなります。映像になると、見栄えのいいアーティストが有利になるのは当然で、まさに歌って、踊れて、かっこいいマイケル・ジャクソンにうってつけの媒体となるのです。
 当時はプロモーションビデオという言い方が主流で、曲を売るためのプロモ映像の意味合いが強かった。マイケルは、プロモビデオどころか、ミュージックビデオとよぶ事も好んでいなかった。それまであった一連のビデオミュージックのつまらさを感じており、自分が作るものは、コンセプトもしっかりした芸術性のある素晴らしい映像を表現したいという思いを強くもっていた。セットも妥協しない一種のショート・ムービー。こうしてマイケルは一連のプロモビデオの概念もかえ、売るための映像ではなく、それ自体も芸術性の高い作品に作り上げ、さらにドラマ性のあるショートフィルムという領域まで高めていく。

 しかし、MTVはあくまでも視聴者との有料契約、視聴者のニーズにあったものを提供するのがビジネスとしても当然。MTVも綿密に市場調査をして浮かび上がったのが、15歳から30歳の都市部ではない中流の白人層で、ロック、ポップを好み、Radioから流れる黒人アーティストの音楽は聞いても、お金を払ってミュージックビデオを見たいと思う人は少なかった。視聴者は、一流の黒人アーティストを見るより、つけっぱなしのTVから二流、三流の売れてもいないグループの映像が流れている方が安心感をもたらしたという。MTV自体に人種差別観があった面もあると思うけど、それよりも視聴者に沿った方針がそうなったという気がする。(結局、世の中に人種差別の意識がはびこっていたという事だと思う)そして黒人層でMTVの契約ができるほどの余裕がある収入の人たちも多くはなかった。
 ただ後述するように、「ビリージーン」の積極的放送を求めてマイケルが所属するCBSソニーがMTV側に圧力をかけた事は事実だと思いますが、言われているように人種差別だけが理由で黒人アーティストのビデオを流さなかったのではないような気がする。実際「ビリージーン」の前にも、ドナ・サマーやティナ・ターナーの作品は流れていた。そもそも黒人アーティストの作品が少なかったのと、前述したようにMTVの視聴者層のニーズが合致していなかった部分があり、黒人のMVが流れることが少なかったという実情があったと思う。
 その状況下で、マイケルよりもいち早くMTV向けの作品を制作したのがプリンスでした。プリンスは、1982年10月に2枚組の『1999』を発表。

1999 -Reissue/Remast-

1999 -Reissue/Remast-

  • アーティスト: Prince
  • 出版社/メーカー: Wea
  • 発売日: 2019/11/29
  • メディア: CD


 この作品で、プリンスもPOPフィールドにもその名が認知されるようになった。『パープレイン』の布石となる作品でもある。プリンスもマイケルと同じく、映像と音楽が融合していく未来が見えていた。そして先行シングル「1999」のパフォーマンスMVは、82年12月にMTVのプレイリストに加えられる。
 プリンスのMTVとの交渉話はほとんど聞いたことがない。イタリア系黒人の父の血の影響か、プリンスのビジュアルはそこまで黒人風ではない。サウンドもロック、ポップよりなのでMTV側もニーズに合っているとあっさり判断したのかもしれない。シングル「1999」はヒットする(POP-12位、R&B-4位)。さらに次のシングル、『パープルレイン』の空気感も感じさせる「Little Red Corvette」が登場。人によってはこの曲をプリンスの最高峰と評する人もいる。この曲もPlay Listに加わりMTVでヘビーローテとなっていた。

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 それを受けて「LRC」はPOPで6位、R&Bでは15位と、ポップチャートの方でヒットする。プリンスにとっても初めてのTop10ヒット。マイケルがMTVの申し子のような言われ方をすることが多いけど、いち早くMTVを利用し見事にヒットに結びつけたのはプリンスの方が先だった。「LRC」はめちゃいい曲で私のプリンスのFav曲でもかなりの上位だけど、MTVがなければ「LRC」はここまでヒットしなかったのではと思う。そして映像でプリンスを見た視聴者は、ちょっと謎めいたプリンスの独特のビジュアルにも惹かれていく。こうして『パープルレイン』を受け入れる下地ができていった。
 このようにマイケルの「ビリージーン」の登場の前にプリンスが露払い的な事をしてくれていたのです。(露払いってプリンスに失礼か)それを受けてマイケルがMTVの黒人アーティストの門戸を開いたことで、この後にも黒人アーティストのMVが続々登場していく。それを受けて、今度はプリンスがMVどころではないほんとうにサウンドと映像が結びついた映画『パープルレイン』を制作し世界を紫色に染めていく。
 
 「ビリージーン」は、ポール・マッカットニーとの「The Girl Is Mine」の後を受けての『スリラー』からの第2弾シングルとなります。ミュージックビデオの制作費は当時としても破格の25万ドル(当時として6000万位か)。CBSが出資します。その次の「ビートイット」は75万ドル、「スリラー」になると120万ドル(1億円超え)にも及ぶ。膨らんだ制作費はマイケル自身が負担する事もあった。プロモーションビデオとよばれるものに1億円の制作費というのは常識では考えられない事でした。しかし、どうでしょう。そのショートフィルムと呼ばれた「スリラー」は天文学的なヒットとなるのです。最終的に大成功という結果となりますが、当初、CBSもビデオミュージックにこれだけの制作費をかけるというのはかけでもあったと思いますが、マイケルを信じます。(この頃は良好な関係でしたね。)
 しかし、MTVは前述の理由で、当初「ビリージーン」を放映するのに難色をしめしたといいます。これに激怒した、CBSソニー側は、「ビリージーン」を流さないのなら、CBS所属アーティストのビデオの提供をしないという圧力をかけたそう。そりゃビデオ制作にかなりのお金も出しているわけだし。
 リック・ジェームスは、自分のビデオを流さないMTVに対して訴訟をおこしたそうだけど、MTV側は人種差別を理由に流さないのではなくクオリティーの問題だと一蹴されてしまう。結局、MTVはマイケル・ジャクソンのビデオを流します。流さざるをえないクオリティーであったのもたしか、これまで黒人アーティストでこここまでのクオリティーの作品を作れる人間がいなかったのです。そして、マイケルはこれを機にこれほどの作品を作れる黒人アーティストがいるんだと黒人アーティストとして初めて視聴者に認識させたのだと思います。そして、何度も言うようにプリンスの援護射撃があった事も忘れてはいけません。

 
 マイケルの「ビリージーン」は、1983年3月からMTVのプレイリストに加えられます。サウンドはもちろんですが、ビデオの完成度も群をぬいています。監督は、アイルランド出身で当時CMディレクターとしても活躍していたスティーヴ・バロン。MTV時代に入りこのような人たちは引っ張りだこで、多くのMusic Videoをてがけ、売るための作品から自分自身の技能も磨いていき映画監督にもなっていった。
 バロン監督の最初のビックヒットは、82年、ヒューマンリーグの「Don't You Want Me」(邦題:愛の残り火)。アルバムからの4thシングルとなりますが、当初ボーカル&リーダーのフィリップ・オーキーは、アルバムの埋め合わせ的なこの楽曲をシングルにするのに難色を示していたそうですが、見事に80'Sを代表するNo1シングルとなります。MTV幕開け直後の曲で、目新しいMTVに視聴者も飛びついた。その中で、フィリムチックでミステリアスなテイストのこのMVがいい感じではまったのかもしれません。マイケルも、もちろん「Don't You Want Me」の映像は見ていて気に入り、制作するにあたり自分のアイデアを話したと言います。
 バロン監督自身の作品として評価が高いのが、A-haの「Take On Me」。アニメと実写が融合したこの斬新なMVは楽曲のキャッチーさとともに当時話題のMVだった。MTV Video Music Awardsで6部門を受賞する作品となっている。そのバロン監督の代表作の一つとなるのがこの「ビリージーン」でした。




  「ビリージーン」の世界観を再現したというより、曲の雰囲気とマイケルのイメージをミステリアスに表現した作品になっている印象。最初は、マイケルを追う探偵の登場シーンから始まる。マイケルが歩いていく所は光り、マイケルが触れるものは人も物も蘇り光り輝く。2nd Verse からマイケルの華麗なステップ、スピンが加わっていきます。バロン監督自身も、自分が手がけた作品の中では破格の予算だったそうですが、それでも予算内におさめるべく妥協した部分もあったそうです。当初は、マイケルが歩くと連動してタイルが光る仕様にしたかったみたいですが、予算上、光る場所は最初から決められていてマイケルにその順番を覚えてもらったというエピもその一つ。
 ダンスは、その後の「ビートイット」「スリラー」に較べると控えめですが、彼にしかできないステップとそのしなやかさは画面いっぱい表現されます。このビデオでは、まだムーンウォークは登場していません。
 この後、4月には「ビリージーン」の3倍の予算をかけマイケル初の群舞にもなる「ビートイット」のビデオも発表されます。基本的に、この2曲は楽曲的にも驚異的な完成度なのですが、ビデオクリップもすばらしいから、相乗効果をうみ、1983年4月16日付のチャートでは、1位が「ビリージーン」そして、5位に「ビートイット」がはいるという脅威のチャートになります。アルバム『スリラー』の売上も上がり続けます。しかし、「ビリージーン」の本当の衝撃はこの後に登場することになります。

④  マイケルの伝説的ステージの一つ モータウン25でのパフォーマンス、ムーンウォークの衝撃

 マイケルの代名詞となっている「ムーンウォーク」。LIVEでも「ビリージーン」の中で披露されるバックスライド。MV「ビリージーン」でマイケルは華麗なステップを踏んでいますが、ムーンウォークは登場していません。”ムーンウォーク”が披露されたのは、この1983年の3月に開催された「モータウン25:Yesterday Today Forever」の中でのステージパフォーマンスで、このマイケルのステップに観客は度肝を抜かれます。(歌は口パクですが)




 当初MJはこの番組自体に出演する事も消極的でした。すでにモータウンのアーティストでもなかったわけですし。そんなマイケルを説得したのが、他ならぬ社長・ベリー・ゴーディーでした。マイケルも、ベリーやモータウンなくして今の自分があることも忘れてはいませんでした。このショーはモータウンの栄光とベリー・ゴーディーの功績を讃えるものでしたが、モータウンの曲ではない「ビリージーン」も歌ってもよいならという事で出演を承諾するのです。



 驚くのが、マイケルはこのパフォーマンスを綿密に考えていたわけではないそうなのです。TVショーのステージというだけでなく、多くの観衆やモータウンのレジェンドが一堂に会する場でもある。その中でのパフォーマンス、アイデアがなくプレッシャーに押しつぶされそうになっていたと。しかし、実際ステージにたつと彼は何かがとりついたように踊ります。この辺が天才たる所以なのだと思う。
 モータウン25周年記念番組のTV放送は5月で、TVの前の5000万人がこのダンスに釘つけになります。もともとこのムーンウォーク”はバックスライドと呼ばれているものでマイケル自身が生み出したものではない。ただマイケルのバックスライドは芸術的。スローでみるとあらためてその動きの緻密さがわかります。後ろに下がりながら前に歩いているように見えるすごさ。常識をこえた動きに皆は衝撃をうけ、ムーンウォークと呼ばれるようになる。曲の中で披露するタイミングも絶妙だった。当時みんな真似してましたが(オレを含め)雰囲気だけで、ちゃんとできてる奴はいなかった(笑)。

 このモータウン25周年記念、マイケルを語る際、マイケルの「ビリージーン」のパフォーマンスだけがピックアップされることがほとんどですが、自分たちの伝説の原点となるモータウンを祝すべくブラザーも集結、Epicに移籍した兄弟たちをよそ目に一人モータウンに残っていたジャーメインも加わり、7年ぶりにジャクソンファイブが復活するのです。ジャクソンファイブ時代からのファンは復活したオリジナルジャクソンファイブに感動したはず。そのジャクソンファイブとしての登場からの流れで「ビリージーン」を見るとさらにしびれます。

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 まずデビュー曲「I Want You Back」。事前に少年マイケルが歌う「I Want You Back」の映像が流れてからのジャクソンファイブの登場。
大人のマイケルのボーカルで「I Want You Back」が歌われます。引き続き「The Love You Save」、ジャッキー、ティト、ジャーメイン、マーロンと5人で息の合った動きを見せます。途中からマイケルのかけ声とともに6男ランディーも加わる。そしてSlowの「Never Can Say Goodbye」。89年頃、マイケルのベスト盤が企画されたとき(見送られますが)、この「さよならを言わないで」もアダルトバージョンとしてセルフカバー曲の候補となっていました。元々すばらしいSlow曲なので、こうして大人のマイケルのエモーショナルなボーカルで聞けるのも素晴らしい。そしてこの後、これまた大ヒットバラード「I'll Be There」。

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 これまでのジャクソンズのライブでも封印されていたジャーメインのパートも復活、マイケルがうれしそうに自分のマイクを兄ジャーメインに差し出し、絶妙なハーモニーをきかせます。そして観客もうながしての手振り。マイケルも「Beatiful」を連発し、観客とステージが一体化します。

 そしてブラザーはステージを去り、マイケルのMCが始まる。栄光のジャクソンファイブとしてのモータウン期をなつかしんだあと「あの頃の曲も大好きですばらしい。でも僕は新しい曲が好きです」というふりとともに「ビリージーン」のイントロドラムが始まるのです。この流れはしびれます。ほんとこのステージを見れた人は一生の宝。
 
 このスペシャルショーでのマイケルとジャクソンファイブのステージは中盤ですが、モータウン25周年記念を通しの中の流れでマイケルのステージを見るとまた違った角度でマイケルのステージを感じれます。
 モータウン25周年記念という事で、モータウンを離れていたアーティストもほぼ集結します。スティーヴィー・ワンダーのメドレー、テンプテーションズとフォートップスの共演。スモーキー・ロビンソンも健在。コモドアーズも登場、残念ながらステージでセンターに立つライオネル・リッチーは見れませんでしたが、リッチーは、別撮りの映像出演でバラード「You Mean More To Me
を歌います。
 個人的にはマイケルのステージの次に感動したマーヴィン・ゲイの「What's Going On」。マーヴィンのソウルな歌声も素晴らしいですが、リリックがまたささる。「戦争はやめよう 憎しみに勝てるのは愛だけだ 何とかして探そう 互いに理解し合う方法を」「
母よ 僕らは誤解されている 髪が縮れていると言うだけで」ほんと時代を超えた名曲。ウクライナ紛争の今、さらに考えさせられる。
 そして最後にダイアナ・ロスが登場、歌う曲はソロでのNo1ヒット「Ain't No Mountain High Enough」。この曲のリリックがこの記念すべきステージにあう。「私が必要な時は呼んで どんな所にいても どんなに遠くにいても そこへかけつけるわ」とハイトーンボイスで歌います。すでに彼女もモータウンから移籍していましたが、この記念式典にモータウンのクイーンがいないわけにはいかないでしょう。

 そしてエンディング曲がシュープリームスのNo1ヒット「Someday We'll Be Together」(またいつの日か)をロスが歌う中、2人の女性、メリー・ウィルソンとシンディー・バードソングが登場し、シュープリームスが復活するのです。まさにリリックの言葉通りになるのです。さらにダイアナが客席に座っているベリー・ゴーディーに向かって「みんなベリーに対して感謝の思いが足りないと思う。もっと評価されるべき。いつまでそこに座ってるの、(ステージに)上がってきて」と言ってベリーを呼びます。そしてバックステージにいたアーティストもダイアナに呼ばれ、次々に「またいつの日か」を歌いながらステージに集います、マイケルとブラザーも戻ってきます。マイケルが登場するとダイアナも「マイケル~」と言って超うれしそう、熱いハグをかわしつつ、マイケルも軽くマイケル節でこの曲を歌います。壇上に上がってきたベリー・ゴーディーも一人一人、あつい抱擁をかわします。マイケルとの抱擁は一際長かった気がする。こうしてみるとこのショーは、ベリー・ゴーディーを賛辞する番組だとわかるのですが、この日の陰の主役はマイケルでした。
 このスペシャルプログラムのタイトルは『モータウン25周年 ー 昨日、今日、そして永遠に』。登場したレジェンド級のアーティストたちのチャート的な全盛期は60年代、70年代。デバージやスティヴィーなど現役バリバリのアーティストも登場しますが、このタイトルに一番ピッタリなのがマイケル・ジャクソンだったというのは言うまでもないでしょう。この日のステージで歌われた曲はすべてモータウンレコードでのヒット曲でした。「ビリージーン」だけが違いました。
 1969年にジャクソンファイブとしてモータウンからデビューしてから、モータウンから吸収したものをいかし、今があり「ビリージーン」という未来に向けて放たれた楽曲をこのステージで披露した。モータウンの申し子でもあるマイケルを、スティーヴィーやマーヴィン、スモーキー・ロビンソンらレジェンドたちも誇りに思ったに違いない。マイケルの「ビリージーン」のパフォーマンスによってこのショーはさらに意味を増したと思う。こんなスペシャルで運命的なステージはないでしょう。

 多くの人たちも、そうしたものも感じ、こうしてモータウン25周年記念は、当時の音楽バラエティーショーの最高視聴率も記録し、放送後「ビリージーン」はRadioでも流れ売れ続けるのです。

 そして次にマイケルサイドはまたまたサプライズのシングル攻勢をしかけます。MTVでのMV、モータウン25でのマイケルのNewスタイルに多くの人が魅了され、「ビリージーン」はビルボードチャートで7週連続1位となります。通常、トップ10からも落ち、下降傾向にある時に、次のシングルをきるのが定番のプロモートでしたが、3rdの「ビートイット」は「ビリージーン」がまだバリバリNo1のときにシングルカットされるのです。そしてMTVであの群舞のMVが登場しヘビロテになるという。「ビリージーン」と「ビートイット」で世の中はマイケル一色になった感。マイケルすごすぎ!

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トミーマーチ

相変わらずの情報量、ましてメガヒットの「ビリー・ジーン」に言及されていて、いろんなエピソード満載でとても興味深く読ませていただきました。
そんな中でもポーラとジャッキーが不倫関係にあったとは知りませんでしたぁあ!!!? タッパはあっても、兄弟の中では1番紳士的で落ち着いている印象のジャッキーがまさか! という思いでしたが、これってジャネットは知っていたのですかね? マイケルも「リベリアン・ガール」のMVではポーラを出演させてますけど、兄弟はどんな心境だったんでしょうか…

マドンナのビリジンネタは確か動画でありましたね。自身のライブ中に「ライク・ア・ヴァージン」のイントロからビリジンのイントロへ繋げて、余興のように一瞬それで踊るという…果たしてこの楽曲制作は確信犯だったのか? まあマドンナはネタとして楽しんでいたのでしょう。
彼女、マイケルが亡くなった時ケント・モリ氏にビリジンを追悼で踊らせましたけど、「THIS IS IT」のダンサーに合格した彼を離さなかった事への少し贖罪のようなものを感じました。マドンナとマイケル、恐らく恋愛に関してはマドンナがからかい半分でちょっかいを出してた? と思うのですが、音楽に対する姿勢や、天性の才能には、奔放な彼女もやはり一目置いていたのではないかなあ…そんな想像をしてしまいます。彼女みたいに強い人なら、ステディな関係になっていれば色んな意味でマイケルを守れたでしょうしね。

あとMVに関しては、2010年の今やいわく付きアルバム苦笑となった「MICHEAL」収録の未発表曲「ハリウッド・トゥナイト」が、これまた「THIS IS IT」で合格するも、またもやマドンナに奪られ、俳優としても活躍するソフィア嬢のサクセス・ストーリーになっていて、ダンスも最高なんですが、MVではCD音源よりもリズム音を強調して、かなりビリジンに寄せた作りになっていたのが興味深かったですね。しかしながら、マイケルが存命なら、こんな二番煎じな発表はしなかったと思いますが、私はちょっとニヤリとして、ソフィアのダンスに惚れ惚れとしてしまいました。結果、いい追悼作品になったなあと少し感動もあったり。

そしてモータウンのビリジンパフォ、私は出会いはレンタルしたVHSソフト、「メイキング・オブ・スリラー」でしたが、当時「モータウン25」自体もレンタルしてて、こちらは触手が動かなかったのですが、今から思えばこちらも一度は見ておけば良かったと後悔しきり…ジャクソン5メドレーも含め、今やYouTubeで観られるので、隔世の感はありますが。
本家のMV、今観ると大金をかけているとはいえ、若干コント臭笑がします(でも物語性はあるのでSFとは言えますね)。結果的にモータウンステージにより、「ビリー・ジーン」の世界は決定づけられましたよね。私は「スムース・クリミナル」のあのクラブ33のような小さなライブハウスで踊るテクニカルさを、ムーンウォーク(バックスライド)を取り入れてテクニカルさはそのままに、ダイナミックにアプデした事が、マイケルの秀でたプロデュース力を物語っているな、と感じずにはいられません。マイケルのSF(MV)は「スリラー」を頂点に彼の代名詞となりましたが、ビリジンや「マン・イン・ザ・ミラー」など、映像で載せられなかった魅力もステージでショーアップした事で、どんな楽曲も取りこぼすことなく大衆に浸透させた事は、
結果マイケルをスーパーのつくスターへ押し上げました。本当に素晴らしい偉業です。


まいど長々とすみません笑 スリラーもそうでしたが、ビリジンもいまだ愛される名曲なのはもちろん、こうして振り返るとムーンウォークのおかげで社会現象にもしっかり落とし込まれた事は、(バックライドの使い方として)世紀の発明だった、と言えるのではないかなあと思います。
by トミーマーチ (2023-03-04 22:40) 

amber35

トミーさん、こちらの返事がすっかり遅れていました(すいませぬ)
アブドゥルとジャッキーの事はJam&Lewis BlogのJanetカテでも書いておりますので、よろしければ。 →
https://jimmyterry.blog.ss-blog.jp/2020-12-17

あとは、トミーさんの内容にうなづくだけでございます。
by amber35 (2023-06-25 22:37) 

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