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◆ マイケル・ジャクソンのワールドツアーを振り返る そこには愛がある [ツアー]

                                   2012.5.27UPに修正
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レコーディングスタジオはマイケルの舞台の一つですが、ステージでこそマイケルは最高に輝く。マイケルは「ステージを自身の家と感じている」という事も言っている。そしてそこでファンと結びつく。
 ここまでのとてつもない偉業をなしとげると、マイケル・ジャクソンは本当に存在するの?なんて思ったりする事もあると思うのですが、ライブで、我々は、リアルにそこに存在し、歌い、踊り、最高のパフォーマンスを展開するマイケル・ジャクソンを見、感じ、体験する事ができるのです。
 MJのアルバムももちろん素晴らしいのですが、それが生で見る事が出来るのです。生の声が聴けるのです。歌とサウンドとダンスが融合したLiveパフォーマンスを体験できるのです。マイケルはアルバムを発表後、大規模な世界ツアーに出ます。ほんとうにワールドツアーです。
 
 ◆『BAD』(87) 発表後 
⇒  BADツアー(87-88) 15か国(123公演) 440万人動員
 ◆ 『Dangerous』(91) 発表後 
 ⇒ DANGEROUSツアー(92-93) 24か国(69公演) 350万人動員
 ◆ 『HISTORY』(95)発表後
   ⇒ HISTORYツアー(96-97) 35か国(58公演)450万人動員  
 
 マイケルは、幼少のジャクソンファイブ時代からツアーには出ていますが、『BAD』発表後、兄弟から離れ、ソロとしての大規模な世界ツアーが開始されます。具体的なスケジュールもまた次回振り返りたいと思うのですが、すごい日程です。ワンステージのエネルギーもどれだけのものかと思うのですが、それを長距離移動をし、各国のビックなスタジアムでこなしていくのです。いったいどれだけの体力を、体力だけではない、集中力、精神力、メンタルなエネルギーもどれだけ必要とするのかと思ってしまう。
 しかし、マイケルにとってステージはビジネスではないのだと思う。愛するファンとつながる最高の場所。だからこそこれだけのステージがこなせるのだと思う。そこに愛があるから。
 
 マイケルの公式LIVE映像は意外と少ない。長い間、DVD化されているのは、『Dangerous』ツアー時、92年7月時のブカレスト(ルーマニア)でのものだけでした。新旧の曲で構成されバランスもいい。現在でも多くの人がこのライブでのパフォーマンスに魅了されている。HBO(USAのケーブルテレビ)が1800万ドル(当時で23億円位か)で放送料を購入するという事も話題になりますが、局でもケーブルテレビ最高の視聴率をかせぎ、各国でも放送権が買われ、我が国を含む21か国で放送され、最終的にはペイしただけでなくそれ以上のものを得たのではないかと思います。MJのLiveを見た事のない人にもお奨めできる作品です。

ライヴ・イン・ブカレスト [DVD]

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 そして、2012年に発売された『BAD』25周年記念盤発売に合わせ、88年7月16日での英国・ウェンブリー・スタジアムで行われた「BADツアー」の映像がDVD化される事になります。

ライヴ.アット.ウェンブリ. 7.16.1988 [DVD]

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 このBADツアーも、前半日程と後半日程があり、パフォーマンスの曲も大きく異なります。BADツアーは、BAD発表後の約1か月半後の87年9月から開始されます。そしてそのスタート地が日本のTOKIOからだったのです。
 覚えている人は覚えていると思いますが、87年10月31日、横浜公演が日本テレビでも放送されました。私もいまだにVHSテープに残っています。世界的にもBADツアーの一般放送があったのは日本だけのような気がします。それほどマイケルにとって日本はスペシャルな国だったのだと思います。この日本公演も含む1stレグは、バッドツアーといっても、原型は84年時のビクトリーツアー。リハーサルを含め十分な準備期間がとれず、ビクトリーツアーの構成でキックオフしたと思われます。
 しかし、翌88年2月、母国のUSAから開始された2ndレグは、まさにバッドツアーで、BADからの曲も増え、これまでの定番だったジャクソンズの「Things I Do For You 」「Lovely One」が削られます。マイケルのソロツアー色が色濃くなります。今回この2ndレグのバッドツアーがDVD化されるのです。29歳のマイケルのパワーみなぎるライブパフォーマンスが見られるのです。マイケルの個人的な保存映像というのでどういうショットなのかは不明ですが、25周年記念盤、ハンパなものは出さないと思いたい。
 Liveというものもコンピュータ制御による舞台装置や演出、サウンドシステム等、テクノロジーの進化とともに変化していったと思う。一昔前は(今も基本はそうですが)、Liveはシンプルにステージで生の楽器とボーカルを感じるものだった。ただ大物アーティストになると収容人数も桁外れ。大規模なステージと演出が必要となります。もしマイケルがビルボードクラスで何十万円という設定でしてもすぐに埋まると思う。
 マイケルの場合は、一流のミュージシャンをバックに配し、その美しさと強さを兼ね備えた生の歌声にも圧倒されるのですが、加えてそこに圧倒的なダンスパフォーマンスが展開される。そしてテクノロジーの進化とともに、舞台演出もすごいものになっていく。ただ演出が凝りすぎると、本来の歌とサウンドのバランスを失う面もある。そういった観点をふまえ独断で各ツアーの採点をしてみました。
 各項目5点満点ですが、これは他者のライブとの比較ではなく、マイケルの各ツアーの相対的な比較でです。生で見たのは(それも一部)DANGEROUSツアーのみなのに勝手な採点容赦くださいませ。

 ◇ ビクトリーツアー(84)
ボーカル★★★★★ パフォーマンス★★★★★ 
舞台演出 ★★★☆☆ 曲目 ★★★★☆  計17点

◇ BADツアー2nd(87)
ボーカル★★★★★ パフォーマンス★★★★★
舞台演出 ★★★☆☆ 曲目 ★★★★☆ 計17点

◇ DANGEROUSツアー(93)
ボーカル★★★★☆ パフォーマンス★★★★★
舞台演出 ★★★★☆ 曲目 ★★★★★ 計18点

◇ HISTORY ツアー (96)
ボーカル★★★☆☆ パフォーマンス★★★★☆ 
舞台演出 ★★★★★ 曲目 ★★★★☆ 計16点

 84年のビクトリーツアー。ビクトリーツアーと冠していますが、実際はスリラーツアーといっていいもの。まさに世界の頂点に到達したマイケルが、再び兄弟とともにツアーに出ます。ジャクソンファミリーの中では、マイケルの成功はジャクソン兄弟の勝利という意識が高かった。当初、気乗りしなかったマイケル、ファミリーの義理立てで参加した面があるも、一旦ステージに立つとマイケルは輝きを放ちます。ブラザーとの息の合ったパフォーマンスは迫力がある。主役はマイケルなんだけど、マーロン、ランディーも負けていない。長らく離れていたジャーメインの復帰も話題。「Tell <e I'm Not Dreamin」も歌われる。ティトとジャーメインはギター演奏も頑張る。ジャッキーがケガで舞台に立てていないのが残念。ボーカル力という点ではこの頃が最高でしょう。ちょっとピッチは速い印象。ボーカルののびと美しさが違う。ボーカルとGrooveを感じるという点ではこのツアーが一番だと思う。そしてそれは生で見てこそ価値がある。もう今や伝説。
 
 BADツアーの1stレグは、前述したようにビクトリーツアーの焼き直しにしか過ぎないと、母・キャサリンも著書の中で言及しています。セットリストも、最後にBADとCan't Stop Loving Youを付け足したくらいでほぼビクトリーツアーと同じ。しかしブラザーはもういません。BADツアーでは、オーディションで選ばれたダンサーが脇を固めます。個人的には、なんかヘビメタ風のダンサーたちが好きじゃないんだよな~。2ndレグが真のバッドツアー。やはり映像にもなった「Another Part Of Me」「Smooth Criminal」「Man In The Mirror」がセットリストに加わっているのが大きい。ボーカルもほぼ歌いきってる。あれだけ踊って歌うマイケルは超人です。
 
 デンジャラスツアーです。私も92年12月のTokyoドームのチケット、アリーナを含め4枚持っていたのに、遅刻してしまい最後の2曲しか聞けなかったという人生においても悔やまれる大失態をおかします。おれを待った友人(男)にも申し訳ない事をしました。現在、唯一のLIVE映像です。そしてMJが発売の許可をしたのも、私の採点でも最高点になったようにバランスもよかったのだと思う。個人的には「Will You Be There」のスピリチュアルな素晴らしいパフォーマンスが見れるのがうれしい。
 そしてデンジャラスツアーで忘れてはいけないのが、これだけのエネルギーで世界各国をまわってパフォーマンスするわけで、相当な収益も得るわけですが、MJ自身のギャランティーはヒール・ザ・ワールド基金にほとんどが寄付されるのです。マイケルは基金の設立について次のように述べています。

 『我々がが生み出したものの中で、子供ほど美しく愛らしく、かけがえのないものはありません。それなのに毎分、少なくとも28人の子供が亡くなっています。
 子供たちは現在、病気や戦争や銃、虐待、無責任といった暴力的行為に命を脅かされています。にもかかわらず、子供はほとんど権利を持たず、代弁してくれる人もいません。彼らは声を持っていないのです。
 僕は神から声を授かりました。今、その声を使って、子供たちが自分たちのために意見を述べる手伝いをしたいのです。声なき声、子供たちの声となるために、ヒール・ザ・ワールド基金を設立したのです。』 
            マイケル・ジャクソン観察日誌 エイドリアン・グラント 吉岡正晴訳より-

 百億円単位のお金が寄付されたと思います。マイケルはそのパフォーマンスで多くに人に感動を与え、さらに自らのパフォーマンスで得たお金を自分の為に使うのではなく、恵まれない子供、地球の癒しのために使うのです。これがどれほどの事だったか我々はもう一度かみしめないといけない。「This Is It」の原型もこのデンジャラスツアーで完成されているようにも思います。
 デンジャラスツアーは、94年はUSAで行われる予定でしたが、あの悪夢の虚偽の告発の影響もあり、鎮痛剤を服用するようになったマイケルが依存症のようになり、その治療に専念すべくキャンセルされるという事態になります(真実は別のところにあった事がフランク・カシオの著書に書かれています)
 
 HisToryツアーは、大型モニター、戦車も登場したりと、さらに舞台演出のスケールも大幅にUpしています。「This Is It」でも見られたメッセージ性も強く出たツアーとなります。曲目も増えますが、正直なとこ口パクもあります。口パクを鬼の首をとったかのように非難する風潮はありますが、公演の構成上必要なものだと思います。この曲目を、すべて踊りきり、生で歌うなんてさすがに厳しすぎる。生のボーカルという視点ではマイナスですが、その分全体のパフォーマンスは素晴らしい。マンミラが入っていないのが残念です。ヒストリーツアーも、ミュンヘン(独)の公演がこの前WOWOWでも放送されました。素晴らしい事です。
 ヒストリーツアーの直前に96年7月に、マイケルはブルネイ国に招かれ国王と6万人の国民の前でスペシャルなLIVEを行います。ブルネイ公演と呼ばれるこのライブは、ヒストリーツアー開始前のもので、Dangerousツアーとヒストリーツアーがミックスされたようなスペシャルな曲目になっています。
 
 ヒストリーツアー後、『This Is It』の発表までLiveは行われませんが、例の再度の虚偽の告発でとてもツアーを行える環境ではなかった。そしてマイケル自身も精神的にも体力的にも世界ツアーを行える状態ではなかったと推測します。
 しかし、心技体の力がもどったMJは再びツアーの発表を行います。英国でのO2アリーナでの公演です。そしてその後、日本を含めた世界ツアーにも旅だったと思われます。年齢的にも最後の、大規模なツアーになったと思いますが、その実現は叶いませんでした。しかし、そのリハーサル風景を映画化した『This Is It』が公開され、リハにも関わらずその完成度に世界は虜になったのです。もちろん、そのMJを見て日本でも若い人たちがマイケルファンになった事はすごくうれしい。しかし「This Is It」はMJの全開のパフォーマンスではありません。ほんと一端にしかすぎないのです。
 
 マイケルが苦難の時、ヨーロッパを中心にマイケルのファンは彼を支援した。それはこうしたライブを通じてマイケル・ジャクソンの愛とソウルを感じたからだと思う。88年のBADツアーを最後に本国USAでのパフォーマンスがないですが、USAでもマイケルのLiveを見ていたら、彼のソウルと愛に触れていたら、当時もっと多くの人が彼の支持に動いたのではと思ってしまう。日本でもこれだけ多くの人が彼のライブを体感した。それでも日本でも、当時メディアのくだらない情報を鵜呑みにし、彼のライブで心を揺さぶられた人も、おもしろおかしくマイケルの事を言っていたことは残念に思います。
 こうして振り返って、マイケルの世界のファンへの愛をあらためて感じるとともに、92年に見逃した自分をまたまた悔やんでしまった・・・(振り返るたびに傷口がひろがるな・・・)
 マイケルのLiveを体感した人は人生の宝だと思います。次回、ビクトリーツアーから振り返りたいと思います。

コメント(2) 
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コメント 2

Takuto

僕はマイケルのliveの中ではビクトリーツアーが一番好きですねー
ビクトリーツアーの頃のマイケルのヴォーカル力とかっこよさは本当にすごいと思います。
兄弟たちとやってるっていうのがなんだかんだいいっていうのもありますね〜
なのでビクトリーツアーの記事のupお願いします!
by Takuto (2019-06-26 22:51) 

amber35

確認が遅れてごめんなさい!(あまりコメントいただかないので気づきませんでした!(爆)
以前にもどなたにかリクエストいただいて、心に留めておりました。

ビクトリーツアーの記事をUoするための前ふりがこの記事でしたので、7月中にはUpできるかと。記事をまっててもらえるなんてうれしいです。

ブラザーたちとのパフォーマンスはやはりスペシャルなものがありますよね。ジャーメインも復帰し、久々に集った83年のモータウン25でのパフォーマンスやマイケルのソロ30周年で集った時もやはり特別なものを感じました。
by amber35 (2019-07-01 20:40) 

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