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◆ マイケル・ジャクソン おれが選ぶ群舞作品ベスト9! [映像・ショート・フィルム]

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 マイケル・ジャクソンが世紀のスーパースターとなったのは、最高のボーカルとそして誰にも真似できない最高のDanceとその世界観を見事に表現したショートフィルムがあったからだと思います。
 Music Video全盛前の70年代のファンはマイケルのボーカルの素晴らしさをかみしめていたと思います。1981年、MTV開局以降、映像からもたらされるインパクトは大きく、そのDANCEとショートフィルムからマイケルに魅了された人が多いと思うのですが、マイケル・ジャクソンはボーカルあってのマイケルだと思います。
 特に80年代は絶品です。男性でありながら女性的な繊細さもあり、ソウルであり、エモーショナルでもある。そしてボーカルにリズムが宿る。ボーカリストとしても唯一無二の存在ですが、神はさらにダンスというものをマイケルに授けた。才能ある人がさらにとてつもない努力をするのだからInvincible(無敵)です!
 さらにマイケル・ジャクソンのすごいところは、見逃しがちな部分ですが、そのエンターテイメント性というか企画力です。最高のダンサーは、普通にすばらしく踊る。マイケルはさらにそのダンスと歌と音楽をミックスさせ一つのエンターテイメント作品を作り出した。一番有名であろう「スリラー」にしても、ゾンビと踊るという発想をする人間がいるだろうか?いたとしても自身でそのダンスさえも表現できる人はいないだろう。
 マイケルのすごさはそのエンターテイメント性にもあるように思う。マイケルが生み出した数々のミュージックビデオ、あるいはショートフィルムと呼ばれるものは妥協することなくお金もかけすばらしい世界観のものを生み出している。そして多くの人が虜になるのがマイケルを中心にする集団ダンスだと思う。
 もちろんマイケルのソロパフォーマンスもすばらしい。モータウン25周年記念での「ビリージーン」のソロパフォーマンスは伝説。マイケルのダンス作品は、多くのバックダンサーと一緒に踊ることにより映像的なインパクトはさらにます。この集団ダンススタイルもマイケルが先駆者だと思う。マイケルとバックダンサーたちの一糸乱れぬシンクロダンス。このスタイルは本当に多くの人に影響を与えたと思う。

 今回あらためてマイケルの集団ダンス作品を振り返ってみたら9作品ありました(ステージパフォーマンスも含む)。曲の途中の挿入的な集団ダンスというかパフォーマンスは含んでいません。そして私自身のリピード度や作品の完成度、インパクト等個人的な好みで順位付けしてみました。それでは以下!

9位 Remember The Time  From 『DANGEROUS』(92)

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 90年もマイケルのDECADEになる事を感じさせた『DANGEROUS』からの第2弾作品。尋常性白斑により白い肌になってしまったマイケル。「Black or White」では「白人だろうと黒人だろうと関係ない」と歌った。当初、そのリリックに違和感を感じる人が多くいたのは事実だけど、自分の意志とは無関係に肌が白くなってしまったマイケルの言葉と取ればストレートに入ってくる。
 そしてこの「Remember The Time」のショートフィルム(SF)では、さらにマイケルのルーツでもあるアフロアメリカンの誇りを随所に感じます。そしていろいろ意味深な作品でもある。
 まず舞台がエジプト王国。アフロアメリカンのルーツであるアフリカ大陸にあったこのロマンあふれる王国が舞台となります。マイケルならハリウッドで名の売れた著名な監督の起用も可能だったと思いますが、あえて若手の才能ある黒人監督であるジョン・シングルトンを起用したように思います。
 そしてキャスティング。王国の王様役に、黒人俳優のスター、エディー・マーフィー。
 女王役に、スーパーモデルのイマン(ソマリア出身)(後にデヴィッド・ボウイと結婚)。ブラックビューティーの代表格のような女性です。NBAのスーパースターだった、マジック・ジョンソンも起用。この作品では、俳優業、モデル業、スポーツ選手のブラックスーパースターが起用され、アフロアメリカンの優秀性を主張しているのも感じずにいられません。MVのダンサーも、これまで白人、黒人まざっていたと思いますが、今回エジプトという事で、真っ白な肌のダンサーはいないように思います。MJだけが白い。やはり自分の意志に反して病気で肌が白くなってしまったマイケルの主張をここにも感じてしまうのです。
 ここまでの主張が、一部の白人層に拒絶された面もあるかもしれません。これまでは映像作品が相乗効果を生みさらなるヒットに結びつきましたが、この黒すぎるSFがかえってHot100で1位を獲得できなかった事に影響したかもしれません。
 さらに深く掘り下げると、この「Rememer The Time」は公式クレジットにもあるようにダイアナ・ロスに捧げられた曲でした。ダイアナは、シュープリームスのメンバーとしてソロとしても70年代モータウンでヒットを連発した。まさにモータウンレコードの女王でした。そして、一時期モータウンレコードの社長であるベリィー・ゴーディーの愛人でもあった。女王がダイアナ、エディー・マーフィー演じる王がベリー・ゴーディーと見ると、ベリーからダイアナを奪う(奪いたかった)というマイケルの秘めた思い感じることもできるのです。
 さて、肝心のダンスパフォーマンス。振り付けはファティマロビンソンという女性。手の動きに重点を置かれた今までにないダンスパフォーマンス。相当難易度高い。最優秀男性R&Bソウルシンガー賞 (「リメンバー・ザ・タイム」)と最優秀男性R&B・ソウルアルバム賞(『デンジャラス』)を受賞したソウル・トレイン・ ミュージック・アワードでこのパフォーマンスがされますが、前日に足を負傷したマイケルは座ってパフォーマンスを行う。作品と同じように凝った演出もされますが、座ったままというのもあってあっていまいちパッションが薄い。
 Dangerous World Tour時でも入念にリハーサルもされます。しかしブートでその映像を見るに、いまいちステージ上での迫力がうすい。すごくいい楽曲なのに、なんでだろ?結局ツアーでは使われず。
 『Dangerous』からはこの後、「In The Closet」のSFも発表されます。集団ではなくナオミ・キャンベルとのDUOダンスですが、これまでにないセクシーでタイトなマイケルがそこにいてすばらしい作品です。

8位 Dangerous  From MTV MUSIC AWARDS LIVE Perfomance (95)

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 95年のMTVミュージックアワードでの「DANGEROUS』のダンスを含むステージパフォーマンス。新旧のヒット曲もメドレー形式で披露し15分に及ぶマイケルワールドがステージ上で展開されます。このパフォーマンスは録画ではりません。生の観客を目の前にしたLIVEステージでこれだけの世界観の表現とパフォーマンスをするのがすごすぎます。
 93年の少年の父親によってしくまれた虚偽の告発で、マイケルをとりまく環境は一気に変わりました。当時、まだマイケルはその負のイメージをひきずっていた。このステージはマイケルにとってけっして楽な状況でのものではなかったと思うのですが、このパフォーマンスに誰もがひれ伏した感じです。
 このライブパフォーマンスは、『History On Film Vol2』に収録されています。
 最終的に「Dangerous」はシングルにはなりませんでしたが、ツアーでもセットリストに加わりこのダンスがステージでなされた。80年代後半に、ビル・ボトレルとマイケルで作った曲ですが、『Dangerous』製作時期にテディー・ライリーによって90年代仕様に生まれ変わり、ダンスパフォーマンスにもフィットした。

7位 Smooth Criminal  from 『MOONWALKER』 (88)

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 映画「ムーンウォーカー」で披露された作品。マイケルが好むイタリアンマフィアのTasteも全開の作品。予算と契約的な部分がうまくいかず全米での劇場公開がされない作品となったのは残念。それまで一連のマイケルのプロモーションを成功に導いていた敏腕マネージャー、フランク・ディレオがその責任を負いマイケル陣営から離れる事にもなります。汚れ役もかうディレオがマイケル陣営から去った事はその後に影響したように思う。
 映画『ムーンウォーカー』は興業的には成功しませんでした。その要素にコンセプトが曖昧になった部分があったかもしれません。「スムクリ」のような大人テイストのDANCEビデオもあれば、マイケルが巨大化してロボットになってしまうという子供チックな部分もありと。結局それらを含めてマイケル・ジャクソンの美学がつまった作品。
 前に倒れるけど途中で止まる「ゼログラヴィティー」は話題になったけど個人的にはそんなにはまらなかった。スピード感あるダンスの振り付けは、ヴィンセント・パターソン(「ビートイット」でMJのとなりで踊る白人のボス役)。
 「スムクリ」の撮影されたセットは、MJの最後のミュージックビデオとなった「One More Chance」の撮影場所と同じだそうで、「One More」の撮影時、マイケル的にはレコード会社の支援と熱意が「スムクリ」の時と差がありすぎて失望しまくったそう。
 劇場公開は、欧州とこの日本でもされました。私も88年の年末に親友と見に行きました。映画館の大きいスクリーンでMJの作品を見れた感動は今でも忘れれない。

6位 BAD from 『BAD』 (87)

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 社会的なメッセージももりこんだ作品となる。監督は巨匠・マーティン・スコセッシ。私服警官に強盗と間違えられて射殺されてしまったアフリカ系アメリカ人の青年の実話を基に制作された。個人的には、曲の内容、作品も含め解釈が難しく感じている。→ 新解釈にたどり着いた(「BAD]記事にて)
 マイケルのダンスシーンはそういった所は抜きに魅了される。タフなマイケル象が全面に出た作品。実際この作品は、17分の映像をすべて見て意味があるのでしょうが、いざ見るとなるとダンス部分からになってしまうという。しかし前半のモノクロ部分のマイケルの演技も見逃せない。
 マイケルはハリウッドを制することはできなかったけど、マイケルの演技力と表現力も相当なもの。それはグラミーで最優秀児童用レコードを受賞した、『E.T. Story Book』のナレーションの素晴らしさにも感じた。
 「スリラー」の後、全世界が注目したショートフィルムでした。プリンスやRUN D.M.Cも参加していたらもっとBADな作品になっていたに違いない。効果音の演出が緊張感を高めかっこいい。この流れは『キャプテンEO』から引き継がれる。
 振り付けはジェフリー・ダニエルとグレッグ・バージ。ブレイクダンスや、ウエストサイド物語の感じも含まれ、相当かっこいいDance。ビデオバージョンのSMOOTHなオルガンPLAY好き。マイケルってダンスシーンもイメージしながら曲を作るのかな。
 BADはステージ上でのダンスパフォーマンスは知らない。日本公演でもされたけど、ダンスはなかった。その後のツアーでもBADはセットリストに加わらなかった。このパフォーマンスをステージ上でするのは難しいように思う。
 『MOONWALKER』でのチビッコマイケルのパフォーマンスも好き。
 『スリラー』の後、全世界がまっていたダンスパフォーマンスでしたからね。マイケルは期待を裏切らなかった。圧倒的なかっこよさでシーンに戻ってきたことを今でも思い出す。

5位 Beat It  from 『Thriller』 (83)

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 全米1位、グラミー最優秀レコード。マイケルのロックスプリッツも感じる楽曲。「ビートイット」がマイケルをR&Bのカテゴリーから開放したといってもいいと思う。
 モータウン25周年記念の「ビリージーン」の伝説のステージパフォーマンスとこの「ビートイット」のミュージックビデオが『スリラー』を爆発的にヒットさせた。
 この曲のダンスパフォーマンスもすばらしい。
 このロック曲とダンスを融合させるのはすごく難しいと思うのだけど、マイケル・ピーターズによる振り付けが素晴らしい。マイケルの両隣にいる黒人ギャング団のボス役が彼。普段はすごく優しそうな方だけど、このクリップでの彼は超いかつい。後に彼が振付師と知りますが、当時はそんな風に思わなかった。
 そして白人側のボスがヴィンセント・パターソン。彼は当時まだ駆け出しダンサーだったようですが、マイケル作品の出演をきっかけにこの後、マイケル作品に数多く起用されることになる。
 MJはこのクリップを通じて「暴力は避けるべきだ」という事を訴えている。「真の勇気とは、暴力をふるわずに、難しい問題を解決できたり、実現可能な解決法を見つけ出す知恵だ」と。ストリート感もすばらしい。曲と映像によるメッセージもダイレクトに伝わってくる。この「ビートイット」がマイケルの集団ダンス作品としては初のもの。
 「ビートイット」という楽曲もマイケルの殻を見事に打ち破ったけど、このCOOLなダンス映像もマイケルをネクストレベルに導いた。このクリップのダンスは、手と足をダイナミックに動かす所がポイントだと思うけど、サラッと切れ味鋭いダンスをするマイケル。手足の長いマイケルのダンスがしなやかなこと。曲も最高にかっこいいし、踊りもめちゃくちゃいけてる。ボーカルもかっこいい。その全てがマイケル・ジャクソンによるものですからね~。 「ビートイット」も当時何度も見た。マイケルのかっこよさが全開だった。男のおれがマイケルにしびれたきっかけはこのかっこよさだった。

4位 Will You Be There  from MTV 10th Anniversary Perfomance (91)

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 これまでのMJのダンス映像は、かっこよさとスピード感が魅力だったと思いますが、感動を与えられた初めての作品。楽曲の素晴らしさとMJのメッセージがストレートに心に響いた。この曲は、『Dangerous』からのシングルとしては7枚目となりますが、曲のお披露目はアルバム発売直後でした。
 それは、MTV10周年記念番組の中でのパフォーマンス。この番組はMTVの10周年を記念し製作されたもので、その申し子ともいえるアーティストが登場します。そのメンツは、ジョージ・マイケル、エアロスミス、マドンナ、REM、そしてマイケル・ジャクソンです。
 『DANGEROUS』は、USAで91年11月26日に発売されますが、この番組はその直後に放映されています。(この日本では世界に先駆けてその3日前に発売されました。MJの日本のファンに対する愛を感じます。)
  マイケルは、節目節目に伝説的なパフォーマンスをしますが、このステージもそのひとつだと思います。当時、「マイケルがまたもどってきた」と興奮したのを覚えています。
 まずスラッシュを引き連れて先行シングルの「Black or White」をパフォーマンス。曲もロックですが、白い肌のMJとちょい悪風の天才ギターリストのスラッシュが登場します。白人ロックアーティストのようなパフォーマンスでした。しかし今回のステージのメインは、この曲ではなく次に披露されたこの「Will You Be There」でした。ステージ上にはセットが組まれ、様々な人種の老若男女がステージに集い、その中心にマイケルが立ちます。ある種世界を象徴しているステージです。
 そして感動的でスピリチュアルなパフォーマンスが、静かだけど力強く進行します。
 MJのダンスも、これまでのものとはちがいバレエの要素も感じます。はじめてみる動きです。後ろのパフォーマーの動きも素晴らしい。この曲の振り付けもヴィンセント・パターソン。88年のグラミーでの「マン・イン・ザ・ミラー」のステージも感動しましたが、この「Will You Be There」はそれ以上の感動を覚えました。不覚にも涙がこぼれた。これを生で見た人は鳥肌ものだったのではないかと思います。MJのパフォーマンスを見て涙が出たのは初めてでした。
 最後は、MJの語りで締めくくられます。MJの神への絶対的な愛を感じるリリックです。そしてそれは、ファンと自分とのつながりをも示しているようにも思います。その語りの声は涙声です。最後には、MJの左目から涙がこぼれています。
 このライブの模様は正式には作品化されていませんが、MVがこのときのパフォーマンスを基に編集されています。がやはりこの時のライブ映像を是非見ていただきたいです。

3位 We Are Here To Change The World from『キャプテンEO』 (86)

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 ディズニーでのアトラクションの3D作品として86年9月に公開される。マイケルのDanceが立体で迫ってきます。ディズニーは親と行くのではなく好きな娘といくものという信念を貫いていたら月日は流れ、96年9月、9年6ヶ月の歳月を経てこの3Dアトラクションは終了してしまいます。しかし、マイケルの死後、マイケルフィーバーがおこり2010年に再演、当初1年限定だったEOも常設化される事になります。今度こそ行かねばと思いつつまたまた妻の妊娠、出産等もありなかなか行けず。2014年、EOの終了が発表され、ついに最終日の6月30日に27年越しにEOを、マイケルファンになった当時2歳の娘と見ることができたのです。
 長年ブートで2Dでこの作品を見続けましたが、3DのEOはこれまでみたEOと別モンでした。ディズニー関係者によると、EOの施設でも若干のハードの差があるようですが、日本は最高レベルの音響と映像だそうです。EOはディズニーのアトラクションなので、MJの映像集にも入ることはなかった。ディズニーランドに行かないと見れない作品なのです。
 これまでどれだけの人がこのEOを体感したのでしょうか。
 製作したのが、ジョージ・ルーカス。監督がフランシス・フォード・コッポラです。すごいメンツ。さらに17分という作品に、20億円ちかい制作費もつぎ込まれます。
 そして『スリラー』同様、1回だけでは飽きない、何回も見たくなるという中毒性がある。
 そして物語のテーマ性。正義が悪を倒すというものではなく、封印されている閉ざされた心を、マイケルのダンスと歌で開放させるというテーマ性がマイケル・ジャクソンらしい。
 EOの意味は、ギリシャ語で“夜明け”という意味だそう。
 ダンスパフォーマンスと効果音がかっこいい。振り付けはジェフリー・ホーナディ。マイケルのダンスが3Dで迫ってきます。当時、最高峰の超高額であろう3Dカメラで撮影しただけある。楽曲とProduceもマイケルの手によるもの。クインシーは絡んでいません。単体の曲としてはちょっとクオリティーは落ちる気がしますが、ダンスとのフィット感は抜群です。エンディングは『BAD』にも収録される「Another Part Of Me」です。
 『スターウォーズ』シリーズを見てもわかるように旧3部作と新3部作の映像技術の進歩はすさまじいものがあり、旧SW的な映像の『キャプテンEO』は時代を感じさせる部分はある。しかしマイケル・ジャクソンのダンスとボーカルは、27年たっても色褪せないという凄さ。そこがすごい。USAとパリでは現在でも続いているらしい(現在の詳細は不明)。
 
2位 2Bad   From『Ghosts』 (97)

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 93年の少年の父親にしくまれた虚偽の告発で、マイケルをとりまく環境は一気に変わりました。マスコミも、それまでのおもしろおかしいゴシップレベルではなく、個人の人格や精神をもさえも破綻しかねない誹謗中傷をマイケルに対して行います。
 必要以上に、繰り返しこういうニュースが流れると、洗脳というかそういう見方で見てしまうとこはある。おれでさえ、もしかしたら何か変な事があったのかと思ったことはありました。そこはほんとマスコミ、マスメディアの恐ろしさ。
 こうした逆境の中で、マイケルが対抗できるのはやはり歌とダンスしかなかったわけです。それがアルバム『History』(95)であり、この『Ghosts』というカンヌ映画祭にも出品された作品だったのではと思います。
 スティーブン・キングとマイケルによる脚本。ユーモアと皮肉さもちりばめつつ、マイケルの思いがしっかりと込められている。作品の中で、「本当に醜い心をしているのは誰だ!」というシーンは多くの人の心に突き刺さったのではないでしょうか。そして、「そんなに出て行け!というのなら消え去ろう」とマイケルは自分の体を粉々に砕くシーンまで我々に見せるのです。そういう悲痛なメッセージもひしひしと感じる作品ですが、やはりエンターテイメント作品としても最高級です。ゴシック調のファンタジー感もマイケルの好む世界観なんだと思う。
 マイケルの集団ダンス作品としては最後のものとなりました。これまた今まで見たことのないTasteのダンスが、ダイナミックでスピーディーなダンスが圧倒的な迫力で次々迫ってくる。これまた相当難易度高い。
 楽曲は「2 Bad」。95年発売の『History』に収録されていた曲ですが、2年後こうしてダンスとともに登場するとは思わなかった。アルバムではあまり聞いていなかったけど、『ゴースト』を見てから一気にリピート度が増したという単純なオレ。
 振り付けはラヴェル・スミス、トラヴィス・ペイン。トラヴィス・ペインは「This Is It」に統括振付師としても参加。当時、もっと話題になってもよかった作品なのですが、この映像作品(ビデオテープ)を含むBOXセットもけっこう急な発売(97年12月)だった。今でもこのBOXセットはかなりのレアアイテムになっている。当時、世の中のマイケル熱は冷え切っていたので、あまり話題にならなかったのかもしれません。それでもマイケルファンであった人はしっかりこの貴重なBOXセットの発売情報をつかみ、定価の5,300円で購入したに違いない。
 近年、WOWOWでも放送されたのもあり(おれのBlogもけっこうアクセスされた)だいぶ認知された作品ではあるけど、『スリラー』ほどは知られていない。マイケルのすばらしいダンス作品は80年代だけではありません。さらに進化した作品が97年に登場しているのです。
 
1位 Thriller  from 『Thriller』 (84) 

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 やはり1位はスリラーになってしまいました。老弱男女、そして世代を超えて多くの人を虜にした作品。BEST HIT USAのマイケル特集でも、親が子にみせたいマイケル作品の1位だった。
 「スリラー」には中毒性がある。この作品のオカルト的な要素が、当時マイケルが信仰していた宗教団体から非難をうけます。子供にも悪影響を与えるのではないかという事で、専門家による調査もされるのですが、その結果が興味深い。子供は怖がるのだけど、また見たいと思うようになるのです。病み付きにさせるのです。これは確かに私も感じます。何度この作品を見た事でしょう。まーたいていのダンスビデオは数回見たら飽きてしまう。ここまで中毒的な症状をさせる映像もそうないと思います。そこも「スリラー」の凄さ。
 振付は、マイケル・ピータース。このダンスで、1984年、MTVの第1回の最優秀コレオグラフィー(振付師)を受賞。マイケル・ジャクソンも振付に関わっており、MJは振付師としても受賞しています。
  「スリラー」はアルバムが発売された82年当初、シングルカットもビデオも考えられていなかった。発売当時、このアルバムのもつ未知の可能性をマイケル自身も想定してなかった感じ。やっぱ今見ても古臭くない。31年間見続けてきた。今でもマイケル・ジャクソンに最高に憧れたあの頃を思い出す。
 09年には歴史的財産としてアメリカ議会図書館の国立フィルム登録簿に記載された。エンターテイメント作品が芸術作品、人類の遺産作品にもなった。
 そして2017年11月、3D作品としてまた世に登場した。見た方の感想は、全然古臭ささは感じず圧倒的な迫力でマイケルとゾンビ軍団のDanceが展開されると。今回は限定公開となっていますが、今後の動きに期待です。
 
 以上がマイケルの9つの集団ダンス作品でした。
 『HISTORY』以降、集団ダンスはなくなりました。『Invincble』収録の「Unbreakable」のショートフィルムが制作されていたらどんな感じだったんだろうって、すごいインパクトだったろうなって今でも思う。そして『This Is It』もマイケルとバックダンサーとのダンスが満載。リハーサルなのにこのクオリティーです。
 マイケルは世紀のスーパースターと言われますが、このような作品を生み出せるアーティストはもう出てこないでしょう。最高の曲を書き、最高のボーカルで歌い、最高の企画を生み出し、最高のダンスをする。それらがパーフェクトに調和するのです。
 生み出すまでの苦労はいかほどのものだったでしょう。我々は知る由もありません。
 
 今回は、群舞系Danceのみセレクトしましたが、「スクリーム」「In The Closet」「ビリージーン」「Who Is It」「Leave Me Alone」(グラミー受賞)「Black Or White」「You Rock My World」etc・・・他にも傑作ショートフィルムがまだまだあるわけですから。
 マイケルはまさに人類の宝でした。音楽とダンスを見事に融合させ、我々に視覚的な楽しさも教えてくれた。そしてこうしてこれらのすばらしい作品群とともに多くの人々の心の中で生き続けていると思います。
 
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