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◆ Smooth Criminal 『BAD』7th シングル ついに銀幕で公開されたMusic Video マイケルの美学が炸裂する [映像・ショート・フィルム]

                     ORIGINAL 2009.9.1に加筆
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 「スムーズ・クリミナル」は、『BAD』からの7枚目のシングルカットとなります。USAでは最後のシングルとなります。『BAD』プロジェクトの最終兵器として『BAD』発売から1年を経ての登場となります。(ただし英国ではこの後、「Leave Me Alone」「Liberian Girl」もカットもされます。アルバム収録曲ほとんどカットじゃん)

 前作『スリラー』の時も、最終シングルにしてあのショート・フィルム「スリラー」の登場で世界に衝撃と感動を与えますが、今回の「Smooth Criminal」は劇場公開としての登場となります。ついにMusic Videoの枠を超えてシネマの大画面でマイケルが躍動するのです。 

 『BAD』発売当初からからこの曲の映像の事は話題になっていました。30分を超える大作で、マイケルがスーパーカーを乗り回したり、イタリアンマフィアの役を演じるとか、ロボットまでも登場するというすごい話でした。その時は、それが後に映画『MoonWalker』として公開されることになる作品とは思いもよらないのですが。
 アルバムのタイトルも当初は『BAD』ではなくこの『Smooth Criminal』が候補にあがっていたそうですが、タイトルにメッセージ色がない(たしかに“華麗なる殺し屋”では意味不明)という事でタフなマイケルというメッセージもあり『BAD』におちついたようです。

 アルバム『BAD』を聞いたとき、すぐに気に入ったのがキャッチーなこの曲でした。マイケル色全開のSmoothなFunk。語感の響きにもこだわるマイケルらしいリリック。マイケルの美学がつまっている1曲といえると思います。
 この曲を前半でカットしていたらNo1シングルは間違いなかったと思います。かなりのヒットになっていたと思います。今回は7枚目のシングル。最後に強力なシングルをもってくる戦略は『スリラー』と同じです。リスナーもアルバム『BAD』を購入しているのですから、シングル購入は減る。さすがに全米1位はとれませんでしたが、それでもHot100で7位、R&Bで2位のビックヒットです。この曲には、Extendedを含めたRemixバージョンもあります。ドラムの感じがアルバムとちがいます。個人的には、アルバムの方が好き。


 映画『ムーンウォーカー』は88年の秋から公開がはじまります。私も友人(男)と2人で映画館へ行きました!やはりスクリーンという大画面でマイケルを見れたのは感動的でした。その感動は今でも深く胸に刻まれています。

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 の映画は、BADツアーの「マン・イン・ザ・ミラー」のLIVE映像から始まるドキュメンタリー風のオープニングで幕を切る。そして映画の撮影現場のマイケル・ジャクソンがファンに追いかけまわされるシーンから、徐々にファンタジーの世界へ突入。そして本編の「スムーズ・クリミナル」がはじまり、最後にまた現実のマイケル・ジャクソンがもどってくるという展開で、3部、4部構成的な感じでもあるのですが、最終的にはひとつの作品としてつながっているのです。
 マイケル・ジャクソンの原案、製作、主演という作品です。この映画の中では、「スムーズ・クリミナル」の他に、88年度のグラミーの最優秀ショートフィルムを獲得する「Leave Me Alone」も登場。シングルカットされてはいませんが「Speed Demon」も使用されています。(結局、『BAD』の中で映像が作られていないのスティーヴィー・ワンダーとの「Just Good Friends」のみじゃん)
 
 
この映画『ムーンウォーカー』はUSAのプロモーションとしては、ある意味失敗しているようです。全米での劇場公開ができなかったのです。日本や欧州では公開されました。全米公開に向けての契約に奔走していたのが、当時のマイケルのブレイン、敏腕マネージャーのフランク・ディレオ。最終的に契約金の所で映画配給会社と話がまとまらなかったようです。
 当時、マイケル・ジャクソンは史上最高のコンテンツと言ってよかったと思います。なのに全米公開にならなかった。映画業界はこの『ムーンウォーカー』を作品としては評価しなかったのでしょうか。
 プリンスの映画『パープルレイン』は、当初そこまで注目される作品ではなかった。しかし、試写会での評価が軒並み高く注目されていく。そして音楽とストーリーとの融合が見事で批評家からも評価され全米各地で封切られる
作品となり大ヒットとなる。マイケルも『パープルレイン』のような大ヒットを期待していたかもしれないけど、その夢は叶わなかった。しかし、ビデオとしての発売はされ、80万本を超えるメガヒットする。
 ただ、フランク・ディレオは全米公開に持ち込めなかった事をマイケルから非難され、この後、マイケル陣営から離れることになります。(汚れ役もかう事ができるディレオがマイケル陣営から離れた事は、この後マイケル周辺に隙を作ったかもしれません)

 ショートフィルム「Smooth Criminal」はある意味マイケルの美学がつまった作品だと思います。1930年代のクラブを舞台に、イタリアン・マフィアに扮し白いスーツに身を包むマイケルはめちゃいかしてる。


 
 この美学は、『This Is It』時に、新たな映像が撮影されたのもわかるように最後まで受け継がれている。
 そしてマイケルのファンタジー感もつまっている。子供たちへの思い、友情も描かれています。子供たちと心から楽しそうにふれあうマイケルを見て、虐待の文字などうかぶ余地がありません。子供たちが敵のボスに暴力を振るわれるシーンがありますが、「やめろー!」と怒るマイケルの演技も超あつい。

「Smooth Criminal」は大人から子供まで楽しめる作品にした。そこがある種、成功であり失敗でもあった。
 成功の部分は、1930年代のクラブを舞台にイタリアンマフィアに扮したマイケルとそのDance シーン。スピード感あるダンスの振り付けは、ヴィンセント・パターソン(「ビートイット」でMJのとなりで踊る白人のボス役)。これまでにないスピーディーなDanceはかなり難易度が高い。マイケルはここでも全力で取り組み素晴らしいDanceを披露する。そしてこのレトロなクラブを舞台に踊るというのもある意味すごいオシャレでもある。静と動の切り替えもいい。
 一方、ある意味失敗だったと思うのが、マイケルが巨大化してロボットになって敵をやっつけまくる展開。このシーンの投入で、一気にファンタジー感が強まり、子供じみた作品になってしまった気がする。賛否両論なんだろうけど、もう少しリアルな展開もありだったのではという気がする。
 例えば、マイケルがエヴァンゲリオンみたくリアルな感じで強大化し、咆哮し、敵をパンチやキックで叩きのめす。ちょっとグロテスクに肉片が飛び散り、血しぶきもあがりまくりもありな描写。その変貌するきっかけとなる敵ボスの子供たちへの暴力ももっとひどい感じの演出にして、マイケルの怒りの要素もエッジを効かせさらに強めるみたいな。でもそういうのにしたら年齢制限も入ってしまうよな~。でこんな残虐シーンもマイケルは好まないだろうな。
 ただあの巨大ロボットのシーンやさらに宇宙船にもトランスフォームする展開が、個人的にはこの作品をちょっと子供じみたものにしてしまった印象。

 タフでワルなマイケルというコンセプトで始まった『BAD』ですが、この『ムーンウォーカー』でファンタジー感が強まるイメージをある意味ファンにもたらした。もし「Smooth Criminal」をもう少しハードボイルドなTasteにしていたらまた全然ちがうイメージになったのではないかと思う。
 
 
この作品は『スリラー』ほどのインパクトとオリジナリティーがなかったように思います。この作品で話題になったのがこの前に傾くシーン。後に「ゼロ・グラヴィティ」として有名になるやつです。

 
 
 糸でつるしてるのかと思ったら、靴にしかけがあるようですね。(この靴と装置を開発したMJ自身が特許を取得する)
 
  楽曲「スムーズ・クリミナル」を掘り下げてみると、その原曲として「Al Capone」という曲がありました。これは前回紹介したように、『BAD』25周年記念盤の未発表曲の一つとして世に出るわけですが、マイケル的には表に出したくなかった曲ではなかったのでは?と思います。

Bad25 by Michael Jackson (2012-09-25)

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   マイケルの曲を聞き込んでいる人は「アル・カポネ」を聞いて、すぐに思い浮かぶのは兄・ジャーメインとの共演曲「Tell Me I'm Not Dreamin'」だと思います。シンセベースのリズムアレンジが「Tell Me」にそっくりなのです。
 ただしそこから試行錯誤を繰り返し、最終的によりソリッドなリズムとキャッチーなメロディーラインとなり「Smooth Criminal」が出来上がったのだと思います。曲間に入るパンフルートもスリリングでいい。ただインスパイアーされた元曲が「Tell Me I'm Not Dreamin'」というのはとても驚きました。
 
 いろいろ現在の思いもミックスして書きましたが、当時、映画『ムーンウォーカー』を劇場で見れた感動は忘れることはできません。あんなときめきはそうあるものではない。
この作品を見るたびマイケル・ジャクソンに最高に全開だったあの頃を思い出します。

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