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◆ WHY / 3T with マイケル・ジャクソン  BABYFACEの切なメロディーにひたる [楽曲レビュー(コラボレーション)]

                                            2009.10.25Up
 
 3T(スリーティー)は、ジャクソンズの二男・ティトの息子、タジ、タリル、TJの3人で結成されたグループです。頭のTをとって3ティーです。95年に『Brotherhood』でデビューします。レーベルもマイケルのレーベルMJJからです。

Brotherhood

Brotherhood

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Epic
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: CD
 
 6人のジャクソン兄弟の中でティトが一番早く結婚したので子供もこんなに大きい。当時、長兄のタジが22歳。ついに次世代のジャクソンがデビューする事になるのです。マイケルは彼らにとってはおじさんなわけで、以前前紹介した日本での92年の来日ツアーでも、マイケルはこの甥っ子たちを長崎のハウテンボスに招待してプライベートを満喫していました。

 この「WHY」はいろいろな意味で語る要素がある魅力的な曲です。まずはBABYFACEの作品であるということ。

 

 私のBlogでもよくとりあげるBABYFACEですが、86年頃から頭角を現すR&Bプロデューサーですが、当時はLAリードとチームを組んでLA&BABYFACEとしてシーンでヒットを連発していました。そのヒットメーカーぶりは、最強プロデューサーのジャム&ルイスのポジションを奪う勢いだった。
 その都会的な魅力溢れる洗練されたスタイルとメロディーはLA’FACE(ラフェイス)SOUNDといわれていました。LA’FACEレーベルもたちあげ、この辺りからLA”アントニオ”リードは、経営側へ重点を置き、LA&BABYFACEは解散。(LAリードは後にマイケル死後のアルバム『XSCAPE』を主導)
 BABYFACEは、さらにアーティスト、プロデューサー、ソングライター、ミュージシャンとして半端じゃないマルチな活躍をします。その伝説のひとつが95・96・97とグラミーで3年連続最優秀プロデューサーを獲得したこと。(LA’FACE時代は3回ノミネーション、92年に受賞)
 
 彼の故郷インディアナ州はあのジャクソンファイブとマイケル・ジャクソンを生んだ土地。彼にとっては、ジャクソンファイブは同郷の憧れでありスーパースターでした。小さい頃、よくジャクソン兄弟の真似事をしていたそうです。そして、BABYFACEの最大の夢はマイケル・ジャクソンをプロデュースする事。
 前述のように87年のWhispersの「Rock Steady」のヒットから、R&BではNo1シングルを連発、POPチャートでも軒並みTop5に入るシングルも連発。R&Bアーティストだけでなくシーナ・イーストンのようなPOPアーティストも手がけます。そんな引く手あまたのTop Producerに登りつめた彼らにジャクソンズから声がかかります。それが89年の『2300Jackson Street』の1stシングル「Nothin」。

2300ジャクソン・ストリート

2300ジャクソン・ストリート

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2010/06/23
  • メディア: CD
 
 当時LAFACE SOUNDをほぼ抑えていた私ですが、この「ナッシン」は私の中でもベスト3にはいるLA’FACEサウンド(この曲はまた次の機会で紹介します)。この時、ジャクソンズにはマイケルはいません。中心は前作の『ビクトリー』(84)から復帰したジャクソンファイブのもう一人のリードボーカリスト、三男・ジャーメインでした。この後、ジャーメインが所属するアリスタの傘下に設立されたラフェイスレーベルにジャーメインが移籍する展開もうみます。ジャーメインはラフェイスの第2弾のビックアーティストとして大々的に売り出される事になります。
 
 この頃、マイケル・ジャクソンは、テディ・ライリーと組んで新しいサウンドを作っていました。当時のR&Bシーンの3大勢力図は、ジャム&ルイス、LA&BABYFACE、テディー・ライリー。ジャム&ルイスは妹のジャネットとがっちり組んでるし、当時Perspectiveレーベルも立ち上げマイケルのスケジュールに合わなかったと思われます。
 LA’FACEも、レーベルを立ち上げさらに兄貴のジャーメインをプロデュース。そうなると、後じっくりやれるのはテディ・ライリーしかなかったのかもしれません。ただこの3者の中で一番Creativeで活きのいいビートを生み出していたのはやはりテディ。マイケルは最初からテディと決めていたのかもしれません。
 そのマイケル、テディーとの曲をほぼ作り上げた後、さらにまだ物足りないということで、超多忙なLA’FACEにも声をかけるのです。LAFACEサイド、いくら多忙とはいえ、あの夢の存在のマイケルから声がかかったのですから、特にFaceが断るわけはないでしょう。実際レコーディングをしたみたいです。 
 しかし、これに怒ったのがラフェイスでまさにレコーディング真っ只中だった兄貴のジャーメイン。自分とやっているときに、割り込むとはどういうことだ!と。これが原因で「Word To The Badd!!」というマイケルへの愛憎ソングができ話題になります。(この曲の分析もまたしたいと思います)
 マイケル逝去時、ジャーメインは、マイケルの死を本当に嘆き、悲しみ「できる事なら変わってやりたかった」とまでコメントしています。しかしこの時のマイケルのやり方にはやはり怒ったのだと思います。それまで蓄積していたものが爆発したメッセージソングのような気がします。後からわかりますが、当時、ジャーメインをはじめ他のブラザーもマイケルと話をする機会がほとんどもてなかった状況だったようです。要はコミュニケーション不足の中起こった誤解だったような気がします。その後、数年かかりますがジャーメインも謝罪し、関係は修復されたようです。結局、、BABYFACEたちの曲は『Dangerous』には収録されませんでした。(しかし、その謎の曲が「Slave To The Rhythm」(後に『XSCAPE』に収録)だった事が後に判明します)
 
 次にベイビーフェイスに訪れた機会が、95年の『History』です。この時は、パーソナルな心情を曲にする手腕では右に出るものがいないJam&Lewisがメインプロデューサーとなっていますが、バラード系の作品候補としてBABYFACEにも声がかかります。しかし収録されたのは、R・ケリーの絶品SLOW「You Are Not Alone」
 この時お蔵入りとなったのが、後に『Ghosts』の限定BOXセットに収録された「On The Line」(この曲も相当のクオリティー)とこの3Tに託された「WHY」ではないかと思います。
 最終的にBabyfaceの悲願の成就は、01年の『Invincible』まで待たねばなりませんでした。このアルバムにやっと彼の楽曲「You Are My Life」が収録されます。この曲も当初は収録予定ではなかったそうですが、最後の最後で「Shout」と差し替えられたそうです。正直な所、以前のフェイスのメロディーメーカーぶりを知っているものかするとかなり普通の曲。
 
 やはり『History』期の前述の2曲は素晴らしい。乗りまくっているBABYFACEがマイケルのためにストックしていた楽曲と思われます。特に「Why」はこれまたさえまくってるフェイスのメロディーメーカーとしての才能を感じます。マドンナに提供したNo1メガヒット曲「Take A Bow」系のフェイス得意のせつな系のメロディー。Babyface単独Produceでは、テビン・キャンベルの「Can we Talk」やマライア・キャリーの「Never Forget You」などもすごく好きです。(一般的にはBoysⅡMenの「End Of The Road」や「I'll Make Love To You」とか有名ですが)

どうして冬は早くやってくるの
どうして花は5月に咲くの
どうして人は恋に落ちるの
いつも恋を悪く言っておきながら
いったいどうして 終わりがあるとわかっていても愛するの

いったいどうして 僕は君を愛しているの
教えてほしい・・・
 
 ティーンエイジャーの3Tにピッタリの切ない恋の曲。当時、絶品メロディーを次々と生み出していたBabyface。マイケルも将来のアルバムに収録する候補曲としてストックしていてもよいものを、ティーンの切ない恋心にもFitするこの曲は3Tらが歌うことでより良いものになると思ったのかもしれません。3Tのボーカルワークは、ソフトですがジャクソンの血を感じます。ビジュアルもいい。子供たちは、父のティトからギターは習ってないのでしょうか??LIVE映像等も見たことがないのでDanceがどの程度できるのかもわかりません。
 イントロからマイケルのボーカル。甥っ子の3Tとのデュオもばっちりです。Produceもマイケルがしています。SOUNDの感触から、最初はProduceもBabyfaceかと思いましたけど、マイケルでした。

Why?

Why?

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Epic
  • 発売日: 1996/08/09
  • メディア: CD
  
 制作されたMusic Videoもいい感じです。

why3t2.JPG

 マイケル亡き今、この切なく優しいメロディーを甥っ子と一緒に歌うマイケルを見るとなんか涙が・・・
 ただシングルヒットとしては、この曲はアルバムからの3rdシングルでR&B-71位、HOT100-112位という結果。この曲のクオリティーの高さとBABYFACE産という視点からもちょっと信じられないチャートアクションです。
 マイケルは彼らのデビューアルバム『Brotherhood』に収録されている「I Need You」でもバックボーカルで参加。マイケルが他のアーティストのバックボーカルに参加するというのは稀なこと。徐々に盛り上がっていくバラードで、3TたちのVocalは抑え気味な中、終盤にマイケルのエモーショナルなシャウトが入ってきて、めちゃ効果的。こういうマイケルのボーカルの入り方はほとんどきかないので、特にしびれます。甥っ子のために全力でサポートしている印象。
 この1stアルバム良いできです。「Why」もすばらしいのですが、1stシングルの「Anything」も透明感のある清涼ミドルですごくいい(R&B-22位、HOT100-16位)。がUSAではメガヒットという所まではいかなかった。当時、マイケル周辺に逆風が吹いていたのが影響しているようにも思います。ただマイケルファン的にはこの2曲だけでも十分価値があります。
 2004年には2ndアルバム『Identity』もでています。
 
 マイケル、どうしてあなたは逝ってしまったの。

Identity

Identity

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Wea Int'l
  • 発売日: 2005/11/08
  • メディア: CD


 

コメント(4) 
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コメント 4

monmama

マイケル大好き、ですが、お恥ずかしながら、WHYという曲も、3Tが甥っ子たちであることも 知りませんでした。
このコロナの自粛生活で気持ちが沈みがちになるとき、やはり聴きたいのはマイケルの声。You Tubeを色々みていて、whyを見つけ、出たしのマイケルを見た瞬間、涙が。。。
甥っ子さんたちも間違いなくジャクソンファミリーの血が脈々と流れていますね。
by monmama (2020-04-17 12:43) 

amber35

 WHY、めちゃ好きな曲です。映像も見られたのですかね。切ないメロディーにのって、甥っ子と楽しそうにじゃれあってるマイケル、今見るとほんと涙がこぼれます。
 すてきなコメントありがとうございます。
by amber35 (2020-04-23 21:54) 

トミーマーチ

amberさんこんばんは。
この2曲のバラードも珠玉ですよね。
マイケルは兄弟達とは、大人なのでそれなりに距離は置いていたかも知れませんが、次世代である自分の子供達、甥っ子達、そして若いアーティストもしっかりサポートしていました。
未来の地球を憂いながら、そこに生きる今の子供たちに責任をしっかりもって接していたことは、並み外れたスターにはなかなか出来ない事だと思いますね。パリスにもそうした想いが届いているのが伺えます。
by トミーマーチ (2021-02-14 23:28) 

amber35

 ほんと、トミーさんのおっしゃるとおりですね。マイケルの才能あるアーティストのサポートは自身のレーベルMJJプロダクションに感じましたが、”次世代”に自分の思いも託していたのだなとあらためて感じました。
by amber35 (2021-02-17 21:31) 

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