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◆ マイケル・ジャクソンヒット曲 全世界シングル売り上げ Best 10 (2009年発表データ) [楽曲レビュー(マイケル)]

                                         original 2009.7.4に大幅加筆

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 マイケル・ジャクソンの全世界でのシングル売り上げBEST10が出ていました。本国、USAだけでなく、全世界での、それもシングルの売り上げという視点が興味深いです。
(*2009年時点でのデータですが、セールスはさらに伸びているかもしれませんが、シングルという概念が薄くなっている現在、ランキングには大きな変動はないのではと思っています。マイケル・ジャクソンというアーティストを見る上での一つの指標として、という感じです)
 まずはさっそくそのBEST10です。

 10位 Earth Song  (350万枚) 1995 from『History』
   10位   The Way You Make Me Feel (350万枚) 1987 from『BAD』
     9位   Thriller  (370万枚) 1984 from『Thriller』
     8位 Smooth Criminal (380万枚) 1988  from『BAD』
     7位 You Are Not Alone  (390万枚) 1995  from『History』
   6位   I Just can't Stop Loving You   (400万枚) 1987 from『BAD』
     5位   Black or White  (400万枚)1991 from『Dangerous』
   4位 Scream  (410万枚)   1995  from 『History』
   3位   BAD       (420万枚) 1987  from『BAD』
     2位 Beat It   (520万枚) 1983 from 『Thriller』 
   1位   Bille Jean (530万枚) 1983  from 『Thriller』

  は米国ビルボード1位曲です。ビルボードはセールスだけではなく、Radio Play等の要素(現在はストリーミングが主流でしょう)も加味した総合チャート。Screamなどセールスは400万枚超えでもUSAチャートでは1位になっていない。あの事件の影響を感じます。
 米国ビルボードで、マイケルとジャクソンファイブを含めた歴代ヒット曲が発表されています。ジャクソンファイブを外したマイケルのみのランキングで載せてみます。
  
   16位  You Are Not Alone (『HIstory』)
 15位  Ben (Motown期)
 14位  Rockin' Robin(Motown期)
   13位  Don't Stop Till You Ge
t Enogh(『Off The Wall』) 
 12位  Dirty Diana   (『BAD』)
 11位  Got To Be There (Motown期)
 10位  BAD (『BAD』)
   9位  
I Just Can't Stop Loving You(『BAD』)
     8位  Black or White (『Dangerous』)
     7位  The Way You Make Me Feel (『BAD』)

   6位    The Girl Is Mine (『Thriller』)
     5位  Man In The Mirror (『BAD』)
     4位  Rock With You (『Off The Wall』)
     3位  Beat It  (『Thriller』)
     2位  Billie Jean (『Thriller』)
     1位  Say Say Say  (『Pipes Of Peace』Paul McCartney)

 マイケルのビルボードチャートでのNo1シングルは13曲あります。このソロBest16曲の中で、No1シングルではないのが、「The Girl Is Mine」(2位)とモータウン時代のソロ「Got To Be There」(4位)と「Rockin' Robin)(2位)の3曲です。
 ビルボードでの1位は、6周1位をキープしたポール・マッカートニーとの「Say Say Say」(ポールのアルバム『Pipes Of Peace』1983に収録)。世界的なセールスだとどれだけ売れたのでしょう。「Rock with You」や「Man In The Mirror」はここではTop10に入っていますが、全世界のシングルセールスでは圏外。「マンミラ」に関しては、多くの人はアルバムを買っており、『BAD』からの第4弾シングルのこの曲のシングル買いまでには走らなかったというのが実情ではないでしょうか。「The Girl Is Mine」もポールとのDuo。ビートルズの強さを感じます。
 
 それでは今回の、全世界のセールスという視点でのTop10についてみていきたいと思います。


  10位 Earth Song  (350万枚) 1995.11  from『History』
                                                     written by Michael Jackson                

Earth Song

Earth Song

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Epic
  • 発売日: 1995/11/24
  • メディア: CD
 
 この曲が10位とは驚いた。英国で見事に1位(さらに「ビリージーン」以来のミリオンセールス)になったほか欧州でビックヒット。米国ではシングルカットはされていない。以前マイケルのチャリティーソングネタでとりあげたようにMJは地球への愛にも満ちていました。と同時に危機感も抱いていた。それがエコロジーの精神が進んでいるヨーロッパを中心に世界的なヒットになったように思います。
 マイケル自身によって書かれた曲で、「What About Us」というタイトルで91年の『DANGEROUS』の候補曲として出来上がっていました。しかし『Dangerous』には癒やしのメロディー「Heal The World」を収録します。マイケルも相当気に入っていた曲なので、このまま没になるのはありえなかった曲だと思います。
 かなりボーカル力を必要とする曲で、流出している「What About Us」ではサビの部分はファルセットで歌われています。しかし、『History』に収録された最終形としての「Earth Song」は、ファルセットにせずこの難曲にシャウトボーカルで向き合っています。
前半は悲痛ながら美しいボーカル、後半に入ると激しい攻撃的なシャウトに変わります。ProducerにDavid Fosterも加わります。

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 美しい自然や動物たちが滅んでいく様のMusic Videoも圧倒的な迫力で迫ってきますが、マイケルのボーカルもドラマティックです。「Heal The World」のような優しさも感じるメッセージではありません。マイケルの攻撃的とも悲痛とも言えるボーカルで、この現状がわからないのか?と世にうったえます。
 月日を経るごとに意味合いを増していっているようにも思います。実は地球環境についてのメッセージも込めていた『This Is It』公演でも重要な位置づけの曲でした。
 
10位 The Way You Make Me Feel  (350万枚) 1987.11 from『BAD』
                                                      written by Michael Jackson

The Way You Make Me Feel

The Way You Make Me Feel

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Epic
  • 発売日: 2006/03/27
  • メディア: CD

 『BAD』からの3rdシングルでアルバムから3枚目のNo1シングル。当時、マイケルが好んだシャッフルGrooveを織り交ぜた。曲自体は、フィリーの感触もあり青空の中のDriveソング的なイメージでしたが、制作されたMusic Videoは夜のStreetという。
 『Off The Wall』『Thriller』と好青年マイケル、シャイなマイケルのイメージが定着していた所で、タフでセクシーなイメージを打ち出したのが『BAD』でした。個人的には、プリンス(『パープルレイン』)の影響も受けていると思っています。
 このMVでのマイケルの鮮やかな青の上着が印象的。セクシーな女性(タチアナ)とも絡みこれまでになかったStreet感のあるセクシーな映像で、このMVのMJのかっこよさは好き。Videoによってすごくイメージが変わった1曲。

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 『Thriller』の後リアルタイムで大興奮で聞いたアルバム『BAD』の初回段階聞きでは、あまり印象に残っていなかったこの曲で、個人的には3rdシングルになるとも思っていませんでしたが、『BAD』を聞き込んでいくうちに、さらにMVにももろ影響され、トータル的には一番聞いた曲になった気がします。
 カーステでよく聞きました。重低音が心地よかった。ホーンセクションがフューチャーされたExtendedもよりDrive向き。自身のバックボーカルとの掛け合いがより満喫できるアカペラバージョンも心地いい。

 9位 Thriller (370万枚) 1984.2  from『Thriller』
                    written By Rod Temperton


Thriller + Ltd Box

Thriller + Ltd Box

  • アーティスト: Jackson, Michael
  • 出版社/メーカー: Epic
  • 発売日: 2006/02/20
  • メディア: CD

 前人未到のアルバム『スリラー』からの7枚目のシングル。米国ビルボードのHot100では4位。『スリラー』からは、82年11月にポール・マッカットニーとの「The Girl Is Mine」がシングルカットされてから、7枚のシングルがカットされる事となります。
 「スリラー」がカットされる頃には、すでに多くの人がアルバム『スリラー』を購入していたはずですが、伝説のショート・フィルム「Thriller」でさらにシングルとアルバムが売れた。現在でもこのSFをこえるインパクトには出会えていない。

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 かっこよかったなー。10代の頃から中毒のように何度も見た。個人的にも一番見ているDance映像だと思う。Making Videoも100万本以上売れたそうなので、そういうのもあわせせたらこの曲がじつは一番売れているのかも。
 作曲はロッド・テンパートンですが、マイケルっぽい雰囲気の曲でもあります。ロッドがマイケルへの曲を書くとき、彼をイメージしていたというのがよくわかる。ロッドの曲はロマンティック感がある。そして時にはかっこよさも同居する。それをクインシー・ジョーンズが抜群のアレンジで仕上げる。「スリラー」はSOUND的には、生楽器とテクノロジーの融合が絶妙。
この辺も80'Sのマイケルの魅力でもあると思います。
 そして何度でも見てしまう中毒性のある映像とDance。マイケル逝去後、この作品の3D仕様も公開されました。
 
 8位 Smooth Criminal (380万枚)  1988.11 from『BAD』
                                                   written by Michael Jackson

スムーズ・クリミナル・5ヴァージョン・コレクション

スムーズ・クリミナル・5ヴァージョン・コレクション

  • アーティスト: マイケル・ジャクソン
  • 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
  • 発売日: 1996/12/01
  • メディア: CD

 『BAD』からの7枚目のシングル。HOT100では7位ですが、世界的にシングルは売れているのですね。スムクリも早い段階でシングルカットしていたら間違いなくNo1シングルになっていたと思う。
 マイケルは、ハリウッドからも注目され映画出演の話はよくありましたが、結局はこの『MOONWALKER』だけとなっています。 (あと1997年、カンヌ映画祭や一部でしか公開されていない傑作『Ghosts』があります)
  この作品の中で公開された『Smooth Criminal』は、ある意味MJの美学がつまった作品のように思います。1930
年代のクラブを舞台に、イタリアン・マフィアに扮し白いスーツに身を包むマイケルはめちゃいかしてる。マイケルはこのスタイル好きだし、この路線は2001年の「You Rock My World」のこれまた大作ショート・フィルムにも通じている。

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 作品の中で
ロボットに変身する感じなんか遊び心満載(ある意味子供向け)。この幅の広さがマイケルの魅力でもあると思います。エヴァ好きの私的には、ロボットではなくエヴァンゲリオンみたいな巨大人造人間型兵器になって、リアルな感じで相手を叩きのめすとかよいと思うんですが。あの前に傾くゼロ・グラヴィティを含め、このMVが大好きな人は多いですよね。私の周りでも多い。私も最初の頃はメチャはまりました。MJはリリックの言葉の響きも大事にする。この曲なんて特に曲にテーマなんてないと思う。語感の響きのかっこよさで詩を作り、そこにこれまたかっこいいメロディーをのせた感じ。


 7位 You Are Not Alone  (390万枚) 1995.9  from『History』
                  written by Robert Kerry
 
You Are Not Alone

You Are Not Alone

  • アーティスト: Jackson, Michael
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 1995/08/16
  • メディア: CD

 ビルボードHot100で初登場1位に初めて輝いた歴史的な1曲。ビルボードのチャートは、基本的に売上げやラジオでの放送回数(エアープレイ)を中心に決まります。80年代はエアープレイのウェイトが高かったですが、90年代に入りセールスの比率が高まっていった。(R&BやHipHop層はシングル購入の傾向が高いよう)
 この曲が1位になった要因は、正直な所、
マイケルだけの力でないように思います。作曲、ProduceしたR.kerryの力もかなり大きい。当時、ダウンローというメロウなSlow Funkで音楽シーンを席巻していたケリーがMJを手がけたということでかなり注目されました。
  当時えん罪的な事件で陥れられたマイケルに「あなたは一人ではない」と励ましているような曲でもあります。マイケルの死は、彼も相当悲しんでるだろうな。ケリー自身も、マイケル逝去後の自身のアルバム『Love Letter』でこの曲をセルフカバーしています。
 
LOVE LETTER

LOVE LETTER

  • アーティスト: KELLY, R.
  • 出版社/メーカー: ZOMBA
  • 発売日: 2010/12/17
  • メディア: CD

 R.KerryのVocalはR&B的でSOUL。マイケルをイメージした制作した曲のようですが、作者だけであって曲のよさを引き出す歌い方をわかっている感じです。さらにこのアルバムには「Not Feelin' The Love」というマイケルをイメージした楽曲もあり『オフ・ザ・ウォール』収録の「I Can't Help It」のVibesを感じる曲でマイケルが歌っていたら最高だったろうなとも思う楽曲。ケリーもマイケルの唱法をイメージしている感じ。
 「You Are Not Alone」にはR.ケリーによるRemixも収録されておりこれも素晴らしい仕上がりです。この後、ケリーは「Cry」「One More Chance」とハイクオリティーの楽曲をマイケルに提供し、マイケルも迷いなくケリーの曲は採用しています。R.ケリーの提供曲の採用率はめちゃくちゃ高い。


 5位 I Just can't Stop Loving You  (400万枚) 1987.8 from『BAD』
                                                     written by Michael Jackson

I Just Can't Stop Loving You

I Just Can't Stop Loving You

  • アーティスト: Michael Jackson
  • 出版社/メーカー: Epic/Legac
  • 発売日: 2012/06/05
  • メディア: CD

  『スリラー』の後、全世界が否が応でも注目したアルバム『BAD』からの先行シングル。Duoの相手にバーブラ・ストライサンドやホイットニー・ヒューストンの名前が上がっていましたが、クインシー・ジョーンズの秘蔵っ子的な新人サイーダ・ギャレットとのDuo Songとなります。アルバム発売まで待てずに、多くの人がシングルを購入したと思われます。私もその一人。

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 サイーダには悪いですが、誰がDUO相手でもNo1はまちがいなかった事だと思います。もっとネームバリューのある人だったらさらなるセールスだったかもしれません。
 マイケル
・ジャクソンは、少年時代がなかったばかりか、失恋したりときめくような恋愛をするような青春時代もなかったのではないかという話がたまに出ます。マイケルの曲に恋愛ソングは少ない。あってもすごく純粋でストレートなリリック。
 発売当時、枕元でささやくようなナレーションの入ったPillowバージョンと呼ばれたものが収録されていましたが、最近のバージョンには(本人がダメだししたのか)このイントロがなくなっています。
 『多くの人が僕の事を誤解している。それは僕を知らないから』とこの頃から増えてきたゴシップネタに対して初めてMJがリリックで主張した感じ。(あくまでもLove Songでのリリックなのですが、ここでもダブルミーニングにした)スペイン語バージョン、さらに『BAD』25周年記念盤ではレアだったフレンチバージョンも収録されます。

 5位 Black or White  (400万枚) 1991.11  from『Dangerous』
                          written by Michael Jackson  Rap by Bill Bottrell

Black or white [Single-CD]

Black or white [Single-CD]

  • アーティスト: Michael Jackson
  • 出版社/メーカー: Import
  • 発売日: 2000/01/01
  • メディア: CD
  クインシー・ジョーンズから離れ、90年代、マイケルが目指すスタイルで作り上げた『DANGEROUS』。90年代もマイケルのDecadeとなると感じさせたアルバム。
 このアルバム、CD(デジタル)時代に突入したから1枚に収められたけど、レコード(アナログ時代)なら2枚組になったボリューム。そして2枚組にした方がそのコンセプトがわかりやすかったとも思う。前編は、新たな若きエナジー、Teddy Rileyと組んだHip Hop色の強い斬新なビートを強調したR&Bスタイル。そして、後半はマイケルがビル・ボットレルら、マイケルのブレインと制作したマイケルワールド。
 アルバム『BAD』、『BAD』ワールドツアーで、マイケルは世界を席巻しました。そしてまたまた世界はMJの新作をまちわびました。これまでは先行シングルはわりと地味目なジャブ的な曲で、2ndシングルでド派手で華麗なMJらしい曲を持ってくる事が多かったのですが、混沌とする音楽シーン、今作はファーストシングルからMJ作の勝負曲できます。
 MJの曲にもついRapが入ります。ロック調の曲ですが、一気に変調してハードエッジになたり、ラップもはいったりと構成も斬新。やっぱ世界的に売れたんですね。SONYのTVCMもかっこよかったな~。SONYとの関係も最高潮で、当時破格の契約を結び90年代もMJはシーンのトップに君臨し続ける事を印象づけられました。

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 70年代、黒人解放運動を推進していたブラックパンサーを象徴するような黒豹から変身したマイケルが、白人至上主義の団体名やシンボルが描かれたガラスを鉄パイプで壊しまくります。白人主義者
への攻撃的なメッセージも盛り込まれたShort Filmは物議を呼びます。
 さらに「黒人も白人も関係ない」と歌っているマイケルの肌が白くなった事は多くの人の誤解をうんだ。薬などで肌が白くできるものではなく、それは尋常性白斑という皮膚疾患によるものでした。後に裁判等で公的な診断として公表されるまで一般的には知られておらず(今でも知らない人は多い)、当時ジャクソンファミリーも知らず、兄・ジャーメインとの確執も生んでしまった。自らの意志で肌を白くした人間が「Black Or Wh
ite」というテーマの曲をわざわざ歌うわけがない。そういった論争もよんだ曲でしたが、New Styleのマイケルを印象づけた1曲でもありました。

  4位 Scream  (410万枚)   1995.6 from 『History』
 written by Jimmy Jam 、Michael Jackson 、Janet Jackson、Terry Lewis

Scream The Remixes by Michael Jackson (1995-05-31)

Scream The Remixes by Michael Jackson (1995-05-31)

  • アーティスト: Michael Jackson;Janet Jackson
  • 出版社/メーカー: Sony
  • メディア: CD

 『Dangerous』の衝撃後、またまた世界はMJの新曲をまちわびます。映像と音楽がむすびついた時代にマッチしたマイケル・ジャクソン。その裏にはとてつもない努力がありましたが、次々と素晴らしい楽曲を生み出し、ある意味、順風満帆な感じで世界の頂点にたどり着いた。
 そのマイケルに1993年8月、「もうこれ以上の活躍させないぞ」という見えない力が働いたのか、えん罪のような事件が起きます。当時、
13歳の少年がマイケルに性的虐待を受けたという証言から、MJはさらにいわれのないスキャンダルにまきこまれるのです。これは少年の父親と悪徳弁護士によって主導されたひどい事件でしたが、結果的に、自宅(ネバーランド)も土足で踏み込まれた上、徹底的に捜査され、MJ自身の身体検査(性器まで確認された)もされ全く事実と異なる事も判明。独自に捜査していたFBIも完全にシロと報告。だた示談にしたことが後々変な誤解をうみます。
 マイケルは裁判を望むも、新作やツアーに出てマイケルにお金を生み出して欲しい人たちがたくさんいました。その貴重な時間を裁判で失うわけにはいかないという背景がありました。そして、マイケル自身もその少年に対する配慮もあったのではという気もします。しかし、マスコミは一度出たこの児童虐待疑惑をずっと言い続けます。純粋に子供の無限の力を信じ、支援してきたマイケルのとってどれだけつらかったことでしょう。
 無実であろうとここからマイケルに対してひどいバッシングも始まります。『Dangerous』ツアーも途中で中断せざるをえない状況になり、アルバム制作に集中できないような状況も続きます

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 そんな悪意あるメディアへの怒りを、ジミー・ジャム & テリー・ルイスととも作り上げたのがこの曲でした。ミネアポリス出身のジャム&ルイスは、あのプリンスが生みの親であるThe Timeのメンバーでした。ジミーはキーボード、テリーはベースをPlay。才能ある彼らは、バンド活動と平行してプロデューサー活動を行っていましたが、もともとミネアポリスSOUND的なものが流出するのをプリンスは快く思っておらず、ツアーに穴をあけた事を理由に、ジャム&ルイスはバンドを解雇されます。退路を断たれた彼らは、Produce活動に専念し、R&Bでは大躍進を続けていました。そして1986年、ジャネット・ジャクソンやヒューマン・リーグでNo1シングルをうみだし、その年のグラミーで、打ち込み系Createrとして最優秀Producerも受賞する事になります。
 その後のプロデューサー活動は、米国の音楽シーンを牽引するほどで(当時としては現役最多の)ビルボードにおいて16曲のNo1シングルを生み出します。彼らは、裏方であるプロデューサーというもののポジションも高めたようにも思います。彼らは素晴らしいライターでもあり、手がけるアーティストの心情やスタイルを斬新なSOUNDで肉付けし見事に表現した。

 私はマイケル・ジャクソンによって洋楽やR&Bにめざめ、ジャム&ルイスによってさらに深められました。その2つのパワーがついに出会ったのですから個人的には夢見た出会いで、すごく感動的なものでした。
 この曲は妹のジャネットとのDuoになります。デビュー当時、ジャクソンの七光り的なものをすごく嫌がったジャネットでしたが、彼女は苦境に追い込まれた兄の支援ができるほどのアーティストになっていました。ジャネットの参加は、当時のマイケルの
ネガティブなイメージを和らげたと思います。

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 ジャム&ルイスは、それまでにジャネットと『Rhythm Nation』(1989)をはじめ最高の楽曲とアルバムを作り上げていました。マイケルも以前から組みたかったProducerチームでしたが、ついにこのタイミングで出会うこととなります。
 彼らが作り上げたこの曲は、ビルボード初登場5位という記録でチャートインするも、そこから上がらず。Hot100で1位にならかったのが今でも不思議。史上最高額の約8億円で制作されたというMusic Videoも斬新で多くの賞を受賞した。USAでは何か見えない圧力を感じますが、世界的にはマイケルの復帰を待ち望んでいた事がこのセールスでわかります。この曲であらたなファン層も獲得した。手がけたのはジャム&ルイスって知ってる人、意外と少ないのかな?

 3位 BAD (420万枚) 1987.9  from『BAD』
             written by Michael Jackson 

BAD(5リミックス・エディション)

BAD(5リミックス・エディション)

  • アーティスト: マイケル・ジャクソン
  • 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
  • 発売日: 1996/12/01
  • メディア: CD

 ここからのベスト3はもう王道でしょう。これまでもさんざん語ってるのであまりコメント残っていない感じ・・・この「BAD」の映像でファンになった人も多いでしょうね。
 アルバム『BAD』は、メッセージ性のあるアルバムであちこちにダブルミーニングを込めた作品でした。この「BAD」も単純に「ワル」という意味だけでなく「Cool、かっこよさ」みたいな意味がこめられている。

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 社会派と言われるマーティン・スコセッシ監督によるこの曲のショートフィルムは、モノクロ部分とカラー映像で構成され18分に及ぶものです。エドモンド・ペリーという米国でも有数の進学校に通う17歳の優秀な黒人青年が、白人警官に射殺されるという事件(85年に起きた)に触発されて制作されたと言われています。優秀であったがために、エドモンドは黒人社会にも白人社会にも居場所を見つけられなかった。この事件の背景を知ると「BAD」の意味に「(ブラザーよ)くじけるな、強くあれ」というメッセージが込められているのも感じる。
(BlogのNo1シングルのカテでこの事について掘り下げています)

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 タフでワイルドなイメージを前面にうちだしたDanceシーンは超Cool。そのDanceとともに多くの人がマイケルの新たな魅力に魅了されたのを感じます。いつもマイケルはファンの予想をあっさり裏切りとてつもないものを見せてくれます。


 2位 Beat It (520万枚) 1983.4 from 『Thriller』 
             written by Michael Jackson

Beat It

Beat It

  • アーティスト: Jackson, Michael
  • 出版社/メーカー: Epic
  • 発売日: 2006/03/13
  • メディア: CD

  この曲が、マイケルをR&Bの枠を越えさせた。そして制作された初めての群舞によるMusic Videoに多くの人が魅了された。

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 マイケルによって書かれたこの曲で「暴力は避けるべきだ」というメッセージをこめている。曲からして、叩きのめせ的なイメージを持ちそうですが、「真の勇気とは、暴力をふるわずに、難しい問題を解決できたり、実現可能な解決法を見つけ出す知恵だ」という事なのです。Music Videoの中で、ギャング同士がナイフをもってやりあいだしますが、MJが説き伏せるや否や、みんなで仲良く踊りだす。すばらしい。
 マイケルによって書かれたこの曲を、クインシー・ジョーンズがロックなアレンジで仕上げ、凄腕のエディ・ヴァン・ヘイレンのギターもフューチャーする事でクロスオーバーをねらった。そして見事にグラミーの最高峰、最優秀レコードを受賞、さらに黒人でありながら最優秀ロック歌手を受賞。これによりKing Of Pop、Soul、Rockとなった。
 さらにこの曲は『スリラー』の3rdシングルになるのですが、シングルカットのタイミングとしてはそれまでの常識からしたらありえません。通常、チャートが下がりだしてその曲の勢いがなくなったタイミングで、次のシングルを投入するのが常道でしたが、「Beat It」は2ndシングルの「ビリージーン」がまだチャートの1位をキープしている時に、第三弾シングルとしてカットされるのです。そして「Beat It」も瞬く間にチャートを駆け上がり、まだ「ビリージーン」が1位の時、5位に入るのです。そして翌週、ビリージーンの1位を蹴落としたのが同じマイケルの「Beat It」だったのです。当初、マーケット的には白人向けの「Beat It」、黒人向けの「Billie Jean」という感じでしたが、そういう位置づけは関係なくこの神曲2曲が相乗効果をうみ、シングルもアルバムも売れまくるのです。
 映像がなくても楽曲だけでも素晴らしい。そしてこのロックグルーブの中でのマイケルのメインボーカルとバックボーカルの掛け合いにも魅了される。ある意味すごく心地いいのです。ロックなのにある種の癒やしを感じるという。

 1位 Bille Jean (530万枚) 1983.1 from 『Thriller』
                                      written by Michael Jackson

Billie Jean - Extended Remix

Billie Jean - Extended Remix

  • 出版社/メーカー: Epic
  • メディア: LP Record

 R&Bの伝統と未来を感じる1曲。そして、マイケルはこの曲から本格的に映像と曲を融合させていき、そのスタイルの先駆者となります。当時としては破格の25万ドルで制作されたMusic Video「ビリージーン」。

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 このMVで白人優遇のMTVの壁をプリンスとともに打ち壊します。さらに、シーンに衝撃を与えたのがモータウン25周年記念でのステージ。あのムーンウォークも披露された伝説のパフォーマンスです。MVよりこちらのインパクトの方が衝撃を与えたと思います。

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 この曲はExtendedをぜったいおさえとくべき。この曲の隠し味はドラムにもあると思います。一見、生ドラムっぽいですが、生ドラムと打ち込みドラムを融合させたハイブリッドドラムで、プリンスもリンドラムと生ドラムを絶妙に融合させていた。このドラムがふつうの生ドラムだったら曲のインパクトは弱くなったと思う。当初、マイケルはこのクールなドラムで始まるイントロを長くしたいという希望を持っていた。その方がドラマ性もまし、期待感も高まっていく(じらすの大好きなマイケル!)。しかし、アルバムの録音時間の制限の関係でマイケルの希望は通らず。しかし、1分30秒延びたExtendedで本来の「ビリージーン」のスタイルを聞くことができるのです。さらにルイス・ジョンソンのベースもめちゃくちゃいかす。
 グラミーのR&Bインストゥルメンタル部門でノミネートもされているノンボーカルのインストもきくとさらにこの曲の深さがわかる。『スリラー』25周年でカニエ・ウェストが手がけたニューバージョンは、やはりオリジナルを超えれなかった。
 
スリラー 25周年記念リミテッド・エディション(DVD付)

スリラー 25周年記念リミテッド・エディション(DVD付)

  • アーティスト: マイケル・ジャクソン
  • 出版社/メーカー: SMJ(SME)(M)
  • 発売日: 2008/02/20
  • メディア: CD

 90年代以降、R&B的な空気感の曲が少なくなりますので、そういう意味でも「ビリージーン」はマイケルの楽曲の中でも重要な位置づけの曲でもあると思います。


 ワールドセールスでのベスト10を振り返ってみました。『オフ・ザ・ウォール』からは入っていない。このアルバムからのNo1シングル「Don't Stop 'Til You Get Enough」「Rock With You」はUSAではミリオンシングル。
 ジャクソンズ関係もどうなんだろう?マイケルと弟のランディがてがけたUSAでミリオンの「Shake Your Body」(『Destiny』収録79)もマイケルのソロといっていい。ジャクソンズでいうとEpic移籍の最初のシングル「Enjoy Yourself」(ギャンブル&ハフPro)もミリオンシングルになっています。
 前述したように、ビルボードのランキング1位、ポールとの「Say Say Say」も世界的なシングル売上げはかなりあると思われます。ポールのソロ名義の曲としてもNo1曲です。このセールスでのBest10には入っていませんが「マン・イン・ザ・ミラー」もマイケルを代表する楽曲です。
 なんなんでしょう、これらの曲、1曲1曲の存在感は。マイケル・ジャクソンの新しい曲を聞けないのは残念で悲しいですが、これらの曲は生き続けます。それで十分です。

★ Extended系も収録したUKの3枚組最強のBest盤。おすすめです 
King of Pop-UK Edition

King of Pop-UK Edition

  • アーティスト: Jackson, Michael
  • 出版社/メーカー: Sony UK
  • 発売日: 2008/09/22
  • メディア: CD

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