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◆E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL ☆ マイケル・ジャクソン ET Story Book ☆  - マイケルの感動的なナレーションが聞けるアルバム- [企画もの、アイテム]

                                          2011.12.3Up

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 日本では、『E.T. Story Book』という言い方をされますが正式名称は『E.T. The Extra-Terrestrial』。これは、スピルバーグ監督のあの有名な作品『E.T.』(82)の物語をナレーションで収録した作品で、そのストーリーテラーを担当したのがマイケル・ジャクソンだったのです。
 クインシーの自叙伝を読むと、事の発端はワーナーBrosの役員を通じて、クインシーとスピルバーグが接点をもった事による。2人はすぐに意気投合したと言います。当時、スピルバーグは『ET』を撮影中。クインシーも『スリラー』のレコーディングにとりかかった頃でした。
 映画の天才と音楽の天才は、やはりお互いに何かを感じあうんでしょう。2人は自然と「研修しあおう」という事になり、スピルバーグは、クインシーを映画のセットに招待し、クインシーは、スピルバーグをレコーディングスタジオに招待したと言います。
こういう出会いってお互いの感性をさらに高めあうんだろうな~。

 そして1982年6月、全米で『ET』が公開され、当時の興行収入の最高記録を樹立する中、クインシーは、スピルバーグから『ET』の世界観を音楽で表現してほしいという依頼を受けるのです。
 快諾したクインシーが用意したのが、腹心のライター、ロッド・テンパートンによる美しいバラード「Someone In The Dark」。ロッドは、「Rock With You」「Thriller」のライターでもあります。そして、それを歌うのはマイケル以外にいないでしょう。ロッドもETの世界観もイメージしつつ、マイケルのボーカルのイメージとの融合も考えたに違いない。
 レコーディングを終え、その仕上がりに感動したスピルバーグは、さらにクインシーとマイケルに1枚のナレーション形式のアルバム制作の依頼をするのです。
 当時『スリラー』の製作も遅れている中、クインシーはこのプロジェクトにチャレンジする事にします。何よりマイケルが『ET』に感動し、この世界を表現できることを望んだのです。
 当初から、スピルバーグもこのストーリーブックのナレーターはマイケル意外に考えられないと思っていたそうです。スピルバーグをして、「マイケルみたいな人に出会ったことはない」と。そしてマイケルの事を「彼はスターだけど心は純粋無垢のままだ。そして自分の人生を完全にコントロールしている」と評しています。スピルバーグは、後にマイケルを主役にした『ピーターパン』の実写版を企画しますが、実現せず。当初、マイケルが演じるはずだったピーターパンは、ロビン・ウィィアムズが務め『フック』として91年に上映されます。
 
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 このストーリーブックは、前述のテーマソング「Someone In The Dark」がオープニングとエンディングで流れます(リリックも違う)。そして本編が、30分に渡る聞かせ物語で、ナレーターがマイケル・ジャクソンなのです。もちろん映像はありません。
 バックにはジョン・ウィリアムズによるスコアや、効果音、ETやCastの声も流れますが、進行はあくまでもマイケルのナレーションです。
 実際に作品を見たマイケルは、1回目は、「何もかも溶けて消えた」と語り、「2回目は狂ったように泣いた」と述べています。マイケルは完全にETの物語と一体化しています。マイケルは、喜び、驚き、悲しみ、怒り、すべての感情をナレーションに込めて表現します。そこには躍動感あるマイケルがいます。歌ともDanceともちがう。ナレーションだけでもこの表現力。
 
 実は、私、未だに『E.T.』見ていません。(USJのETのしょぼいアトラクションは体感しました!)さらに英語もそんなにできるわけではありません。しかし、マイケルのナレーションで聞いた『E.T.』でほぼ内容を感じる事ができました。
 クインシーは、このアルバムの製作に6週間を費やします。アナログ時代の当時、製作はかなり大変だったようです。さらにCBSからは『スリラー』の完成を急ぐよう言われている中での製作だったのです。ある意味賭けだったっとも述べています。しかし、クインシーとマイケルはやり遂げます。そしてその努力は、最高の結果となって返ってきます。
 それは、グラミー賞で最優秀児童用レコードを受賞するのです。マイケルは受賞スピーチで「今まで頂いたグラミーの中で一番うれしい」と述べます。

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「子供の無邪気さは想像力の種だ。子供はいろいろな事を我々に教えてくれる」と彼は言います。マイケルの発言には、子供のもつ神秘性を言及するものが多い。普通の幼少時代をもつことができなかった彼は、子供を通じて失われたものを見出そうとしているのかもしれない。
 この受賞と『スリラー』での7部門の受賞とあわせ、1回のグラミーで8部門を受賞するという前人未到の記録も作るのです。記録という観点では、ETのアルバムを製作していなければこの記録は作れなかった。子供を愛するマイケルだからこそ達成できた偉業。神様からのご褒美のよう。
 
 「Someone In The Dark」(邦題:暗がりに隠れている君)は当初、シングル化も予定されていました。マイケルのVocalがとても美しく、そして、とてつもなく優しい。しかし、この曲がシングル化される事はありませんでした。そもそもこのアルバム自体が、CBSとMCA(ユニバーサルのレコード部門)の間で訴訟問題となり、法廷闘争の末、販売停止となるのです。
 CBSの主張は、MCA側が当初の取り決めを破り『E.T. The Extra-Terrestrial』を『スリラー』の発売直前に発売した事でセールスの支障をきたすというものでした。
 裁判所はエピックの主張を認めます。それにより『ET Story Book』は、50万枚が出荷された後、販売停止となります。
 日本盤は、当初販売されていないと思っていましたが発売されていました。当時はもちろんネット等なく探す手段は電話か自分の足です。私もあちこちのレコード屋を探したけど見つけることができなかった。後に輸入盤を購入していましたが、最近、ネットで日本盤を見つけ購入できました。(今でもネットでで見つける事ができるのではないかと思います)ただ違いは、日本語訳のブックレットがついているかどうかで、マイケルファン的な視点では違いはないです。
 マイケルコレクター的には、この記事にも使用しているマイケルとETの2ショット、56cm×56cmのポスターは貴重かもしれません。

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 この作品が、今公式に発売されていないのは残念でなりません。クインシーも、自叙伝で「ユニバーサルが、黒人アーティストのマイケル・ジャクソンを軽視してEpic側にきちんとした筋を通さなかった」と述べています。映画業界が、音楽業界を軽視した部分もあったのかもしれません。今でも、映画業界関係者は、自分たちの方が格的には"上"という意識を感じる。
 この問題で、クインシーとスピルバーグも一時期絶交状態になったといいます(後に和解し、絆はさらに深まったそうですが。その証拠にスピルバーグ監督の『カラーパープル』のサントラをクインシー担当)。ただ両レコード会社が、きちんと話をし調整していれば、この作品が販売停止になる事もなく、後にCD化もされたかもしれません。両者のスタンスが、自社の利益ではなく、我々リスナーに向かっていたならここまでもめる事もなかったでしょう。
 
 この『E.T. The Extra-Terrestrial』を聞いているとマイケルがそこにいるようです。
 今でもUSAでは中古のレコードは売られているようです。「Someone In The Dark」は永年コレクターズアイテム的な曲でしたが、現在『Uitimate Collection』や『スリラー』のボーナストラックとしても聞けるのはうれしい。でもこの曲以上に、マイケルの30分に及ぶナレーションは、歌やDanceとは違う感動を我々に与えてくれます。マイケル亡き今、その感動はさらに深まります。

☆ Someone In The Dark収録
Ultimate Collection (W/Dvd) (Spkg)

Ultimate Collection (W/Dvd) (Spkg)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Epic
  • 発売日: 2004/11/16
  • メディア: CD
 

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