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◆1983 グラミー賞 Grammy Awards 第26回グラミー賞 マイケル・ジャクソン8部門で受賞 最多受賞 [アワード]

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 1984年2月28日、83年にリリースされた作品の中から最高と思われる音楽に対して栄誉を与えるアメリカ音楽界の最高権威「レコーディング・アカデミー」、通称グラミー・アワーズが開催された。
 グラミー賞は、ソングライター、ミュージシャン、プロデューサー等、レコード制作に関わる素晴らしい作品を生み出した人たちから構成された会員の投票で選ばれるもの。明確な基準は知りませんが、誰でもなれるものではないのでしょう。X JAPANのYOSHIKIも会員の一人とは驚いた。My Fav ProducerのJam&LewisのJimmy Jamが今副会長。プロ中のプロが選ぶ音楽賞なのです。
 通常は、各部門の優秀な作品、活躍したアーティスト達を賞賛する場ですが、この日は1人のアーティストがおさめたアンビリバボーな成功に対する音楽業界からの賛辞の式典になるのです。その日の主役はすでに決まっていました。マイケル・ジャクソンがいったい何部門で受賞するか!?
 マイケル・ジャクソン個人としてはすでに10部門で13ノミネーション(複数曲のノミネート有)という(当時)史上初の快挙となっていた。『スリラー』に関わったものとなると最優秀録音部門で受賞したブルース・スウェディンと最優秀R&Bインスト部門(ビリージーンで、クインシー&ジェリー・ヘイ)を含めると12部門になる。
 そして、彼は伝説をつくります。

 
 この年のグラミー賞は、ある意味マイケル・ジャクソンのリベンジでした。それは、79年にさかのぼる。前作『オフ・ザ・ウォール』は、2曲のナンバー・1ヒットと2曲のトップ10シングルを生みます。1枚のアルバムから4枚のトップ10ヒットがでたのは音楽史上初めてでした。音楽業界のレコード売り上げが不振の折、アメリカでは500万枚、全世界で700万枚というモンスター級のヒットとなります。そして、セールスだけではなく、作品のクオリィティーの高さからマイケルは80年度のグラミー賞を総なめにするのではないか、という前評判でした。
 しかし、ふたをあけてみると、ノミネートは2部門。うち受賞は最優秀男性R&B歌手のみという結果に終わります。マイケルは、同業者に無視されたと感じ深い失望感におそわれます。その時、マイケルはリベンジを誓う。
 「次だ。機会を待つんだ。今度は、誰もが無視できないようなすごいアルバムをつくってやる」と。そして、その夜、彼の努力が報われその才能に賞賛の嵐がまきおこるのです。
 
 それでは、この年のグラミー賞を振り返りたいと思います。この時のグラミーはリアルタイムには見れていませんが、後に録画したのを見ました。(現在もその模様はYouTubeで見れますね)ある意味、マイケル・ジャクソンが完全に頂点にたった時かもしれません。
 この日、何度壇上に上がったことになるのでしょう。スピーチのネタも尽きる感じ。実際、クインシー・ジョーンズは重複するコメントが多かった気がする。しかし、マイケル・ジャクソンは自分が何部門受賞するかがわかっているかのように、1回1回テーマというかコンセプトを持って壇上に上がり、スピーチをしている印象を受けます。すべての人がマイケルの発する言葉、一言一言に注目します。
 
 今回は、受賞した流れに沿って紹介したいと思います。
 まず放送前に、マイケル・ジャクソンは既に最優秀ロック歌手を受賞していることが告げられます。

 《 最優秀男性ロック歌手 》
 「ビート・イット」                    マイケル・ジャクソン
     「アフェア・オブ・ザ・ハード」         リック・スプリングフィールド 
     「キャット・ピープル」          デビッド・ボウイ
  「ザ・ディスタンス」          ボブ・シーガー 
    「アイ・ドント・ケアー・エニモア」   フィル・コリンズ
 
 黒人アーティストがロック部門を獲得するというのがすごい事。白人アーティストはどう思ったんだろう。もちろんヴァン・ヘイレンの力も大きい。マイケルのロック・スプリッツもほんとすごい。この後も、アルバムにはかならずハードなロックナンバーがある。「Beat It」がR&Bアーティストのカテゴリーで見られていたマイケル・ジャクソンの壁をぶち破った。
 
 次にグラミーの中でも主要4部門といわれるもの。
 最優秀レコード、最優秀アルバム、最優秀ソング、そして新人賞ですがこれは対象外。まず最優秀ソングの受賞が告げられます


 《 最優秀ソング 》  
  「Every Breath You Take 」(見つめていたい)
     Written by スティング  Performed by ポリス
       「オール・ナイト・ロング」  ライオネル・リッチー
       「ビート・イット」       マイケル・ジャクソン
       「ビリー・ジーン」       マイケル・ジャクソン
       「マニアック」         
マイケル・センベロ&デニス・マットコスキー

 この部門は、ライターに対して授与されます。ここではスティング作の「見つめていたい」が受賞。たしかに名曲。
  『スリラー』の核となった「ビートイット」「ビリージーン」の2曲がノミネート。ひとつのアルバムから、この主要部門で2曲もノミネートされているというのは異例。そして、この2曲ともマイケル自身の手によるもの。「ビリージーン」で受賞してほしかった。2曲がノミネートされた事により票が分かれたのかも。総票数なら、マイケル・ジャクソンが一番のはず。ちょっと複雑~。
 ノミネーションも、グラミー会員がするわけです。ですからここに2曲がノミネートされていると言うことが本当にすごい事。この後、ことごとくマイケル・ジャクソンの前に敗れるスティング(ポリス)ですが、一矢報いた感じ。スティングのコメントを聞きたかったですが、ツアー中とのことで来場していませんでした。
 

 《 最優秀プロデューサー 》 
   クインシー・ジョーンズ&マイケル・ジャクソン  
      ジェームス・アンソニー
      ジェイ・グレイドン
      クインシー・ジョーンズ
    フィル・ラモーン
 
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 この賞を獲得したのも大きい。マイケルは、シンガーであり、ダンサーであり、ライターであり、そしてプロデューサーでもある。一般のシンガーのようにできあがった曲に、歌をふきこむだけでスタジオを後にするのとはちがう。彼はトラック・ダウンまでたちあう。その間、納得できない箇所があれば調整、取り直しをする。『スリラー』は妥協を許さない完璧なプロダクションだった。
 師匠、クインシーもマイケルのその情熱には脱帽。もちろん、マイケルはクインシーからプロデュース業のノウハウを学ぶ。その、ストイックな完璧主義の追求は次作『BAD』で最終段階をむかえる。クインシー自身も、マイケルとは別に手がけたジェームス・イングラム等のWORKSも評価されクインシー単独でもノミネートされているのも興味深い。
 そして、やはりマイケル・ジャクソンが間違いなくクインシーと肩を並べてProducerとして受賞しているところに大きな意味がある。初めてクインシーと壇上に上がるマイケルですが「時間を割いては申し訳ないので一言、皆さんありがとう、愛しています」でこの場は去ります。ファンとしては、「それだけかよ~」って感じですが、まだマイケル自身もこの後、壇上に上がる機会が何度もある事を確信しているにくい演出です。それと、あくまでもメインプロデューサーはクインシーで、自分が偉大なクインシーと肩を並べるなんてどんでもないという謙虚な気持ちもあったのかもしれません。
 ただこの部門に関して、真偽のほどはわかりませんが、ザック・オマリー・グリーンバーグ著『マイケルジャクソン帝国の栄光と転落、そひて復活へ』の中で触れられているのですが、グラミー賞の前夜、当時のCBS社長・ウォルター・イェトニコフに電話をかけたマイケルは、プロデューサー部門でクインシーとの共同ノミネーションに納得いかない、自分が作ったのだからクインシーを外すよう頼んで欲しいという会話をしたとあるのです。この授賞式でクインシーと抱き合って喜ぶマイケルの姿を見るとこのネタは事実ではないだろう、って思う。
 クインシーの謝辞の中で、最初に出たアーティストが、ポール・マッカートニーとエディ・ヴァンヘイレンでした。特にエディー・ヴァンヘイレンを担ぎ出せたのはクインシー・ジョーンズだったからでしょう。当初、『オフ・ザ・ウォール』の頃、クインシーとマイケルのコンビは異色のようにとらえられていた感じですが、クインシー以外に誰がマイケル・ジャクソンを頂点に導けたのかという感じです。

 《 最優秀アルバム 》
 「スリラー」       マイケル・ジャクソン/クインシー・ジョーンズ
   「フラッシュ・ダンス」   サウンド・トラック
    「イノセントマン」     ビリー・ジョエル/フィル・ラモーン
    「レッツ・ダンス」     デビッド・ボウイ/ナイル・ロジャース
    「シンクロニシティ」     ポリス/ヒュー・バジャム

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 次に、アルバム部門で受賞します。プロデューサーとアーティストに贈られます。今でも色あせる事のない80'Sの枠だけに収まらない名盤がノミネートされています。しかし、相手が『スリラー』だったのが不運でした。
 この年、スティングのポリスとライオネル・リッチーは『スリラー』に泣かされた。
 ボウイの『レッツ・ダンス』のProducerは、ナイル・ロジャース。
 ビリー・ジョエル『イノセントマン』も名盤。そして、年度が違えば『シンクロニシティ』が受賞だったと思う。プロのミュージシャンが心酔するアルバムだと思います。
 マイケルとクインシーは再び壇上にあがりコメントをします。マイケルはエピックレコードに最大級の賛辞を贈り、「世界一の友人であり、最高のプロデューサーであり、素晴らしい人物です」とクインシーに感謝の言葉を述べます。ジャッキー・ウィルソンの功績を称えたのも印象的でした。
 クインシーも「10年前は神経外科の病院で闘病していた自分が、50歳にしてこのような素晴らしい贈り物を頂けるなんて」という言葉が印象的でした。この時、マイケル・ジャクソンは25歳です。

 続いて下記2部門で受賞したことも発表されます。

 《 最優秀男性R&B歌手 》
「ビリー・ジーン」          マイケル・ジャクソン
    「インターナショナル・ラバー」    プリンス
    「ミッドナイト・ラブ」        マービン・ゲイ
  「パーティー・アニマル」       ジェームス・イングラム
   「ステイ・ウィズ・ミー・トゥナイト」 ジェフリー・オズボーン

 ミスターソウルシンガーのマービン・ゲイ、そしてクインシーFamilyであり「PYT」のライターでもある正統派ジェームス・イングラム、ジェフリー・オズボーンというR&Bボーカリスト。プリンスの『1999』に収録の「インターナショナルラバー」もノミネート。楽曲も良いけどプリンスの唱法も評価された感じ、この曲大好き。
 そして、マイケル・ジャクソンです。「ビリージーン」はマイケルの体臭がにじみでてる。モータウン25周年のパフォーマンスは、ボーカルと楽曲とDanceがミラクルな融合をした。

《 最優秀ニューR&Bソング 》
   「ビリージーン」                マイケル・ジャクソン
   「エイント・ノーバディ」       ホーク・ウォリンスキー
   「エレクトリック・アベニュー」  エディ・グラント
   「P.Y.T.」      ジェームス・イングラム&クインシー・ジョーンズ
   「スターティン・サムシン」   マイケル・ジャクソン
 
 作曲者に贈られる賞。マイケルが書いた「ビリージーン」と「スターティン・サムシン」2曲がノミネート。そして「ビリージーン」で当然とも言える受賞。R&Bの過去と未来がつまった1曲。「ビリージーン」は楽曲的にも高い評価を得る。
 さらにマイケルの手によるものではないけど、「PYT」も。アルバム『スリラー』から3曲のノミネートです。1枚のアルバムから3曲のノミネートなんてかなり異例なこと。「PYT」はR&Bソングなんだな~。「スターティン・サムシン」もR&Bソングなの?とは思う。マイケルは、作曲をするとき、ピアノとドラムを使うといいます。ビートも曲つくりにおいて非常に重要なファクターになるという所にMJの曲の素晴らしさをとく秘密がにあるように思います。同じような事をジャム&ルイスもいっています。自分たちの曲つくりにおいて重点をおいているのは、ピッチとリズムだと。そう、グルーブ感のないブラック・ミュージックなんて考えられない。

 最優秀ポップ歌手の受賞スピーチは家族へ謝辞の場になります。

《 最優秀男性ポップ歌手 》

  「スリラー」                     マイケル・ジャクソン
    「オール・ナイト・ロング」  ライオネル・リッチー
   「マニアック」             マイケル・センベロ
   「1999」                 プリンス
   「アップタウンガール」       ビリー・ジョエル

 グラミーにおいてR&B、ロック、ポップの3部門を制したのがすごい事だと思う。まさにKING OF POPの証。「1999」でプリンスもPOP部門でノミネートされているのにも注目!マイケルとプリンスがカテゴリーの壁を壊した。そして、プリンスはマイケルにやぶれてひそかに悔しい思いをしていたかも。ここでもリッチーの前に『スリラー』がたちはだかります。

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 7個目のグラミーを獲得したマイケルは、リビー、ラトーヤ、ブレイク前のジャネットの三姉妹を壇上に呼び、そして兄弟全員にも感謝の言葉を述べます。
 「もちろんジャーメインを含めて」と言い、来場していたジャーメインを指さし、彼もうれしそうです。

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 一時期マイケルたちと離れて活動していた兄に対して、メディアが言うような確執はないというマイケルの思いを感じる一言です。
「母は自分と同じでとてもシャイな人なのでけっして壇上には上がってこないと思います」と言い、その母に手を振るマイケル。

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 マイケル・ジャクソンは今回のグラミーではパフォーマンスはしていません。しかし、この日最高に盛り上がったのがマイケルがサングラスを外すシーンです。「本当は外したくないのですが、親友のキャサリン・ヘップバーンが外すべきだと言うので」と。「彼女と2階のファンのために外します」

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 なんなんでしょう、まさにカリスマです。同性のオレでも「キャ~」って言ってチビリそう(爆)。近年、カリスマって言葉が安易に使われますが、本当のカリスマには近寄りがたい、そして崇高なオーラが出てる。まさにこの時のマイケルがそう。
画面からもそのオーラを感じてしまうほど。
 そしてフィナーレです。

 《 最優秀レコード 》
 ★ 「Beat It 」  マイケル・ジャクソン
    Producer  クインシー・ジョーンズ / マイケル・ジャクソン
     「オール・ナイト・ロング」        ライオネル・リッチ-
   「見つめていたい」            ポリス
   「ホワット・ア・フィーリング」      アイリーン・キャラ
   「マニアック」                       マイケル・センベロ

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 最優秀レコードは、アーティストとプロデューサーに贈られます。今は、アルバムの方が権威があるかもしれないけど、当時は最優秀レコードが最高権威だった。  
 ノミネート曲は、80’Sを代表する素晴らしい楽曲群。すべてNo1シングルでもある。
 リッチーの「オール・ナイト・ロング」は、トロピカルタッチの癒し系のすばらしい曲。 大ヒットした映画『フラッシュダンス』(エイドリアン・ライン監督)から2曲ノミネート。特にマイケル・センベロの「マニアック」は大好き。AOR的なクールさと哀愁系メロディーのグルーブにはまった。センベロもリッチー同様、悔し涙を飲んだ感じ。
 対抗馬となったのが、ポリス(スティング)「Every Breath You Take」(見つめていたい)だったのでは。この曲も色あせる事のない名曲。P.Diddyにより「I'll Be Missing You 」(97年全米1位、年間チャート3位)で大胆なサンプリング(というかカバーだろ)ネタとしても使われ、あらためてその楽曲のすばらしさを認識させられる。
 しかし、マイケルの「ビート・イット」が受賞します。ハードなロックナンバーですが、その奥底には、彼の抑えようのないファンクネスがにじみ出ている。ビデオクリップがなくとも圧倒的なクオリティーの曲です。その楽曲に最高のVocalがのる。そしてビデオ・クリップのダンスの素晴らしさも相乗効果となったにちがいない。最後の部門の発表で、まさにフィナーレもマイケルとクインシーで飾る感じでした。マイケルもおされるくらいクインシーも喜びを爆発させてる。
 
 最後にマイケル・ジャクソンの人間性が出るコメントがあります。
 ことごとくマイケルの前に敗れた、ライオネル・リッチーを称えるコメントをします。「偉大なライターで、素晴らしい人物のライオネル・リッチーにも感謝します。僕は2歳の頃から彼の友達なんです」という言葉を伝えます。

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 リッチーにとっては、この日はけっしてHappyな一夜ではなかったでしょうが、マイケルの最後のこの言葉に彼がどれほど癒されたか。そして翌84年のグラミーで、最優秀アルバムを受賞するのがライオネルです。1985年にはあの「We Are The World」のライターとして2人で最優秀楽曲賞を受賞しています。
 そして最後にマイケル・ジャクソンが締めくくったのはクインシー・ジョーンズとバルコニー席のファンへの感謝の言葉でした。
 
 他、前述したエンジニア、ブルース・スウェディンが最優秀録音で受賞。いくら最高の素材が揃おうと、最後のトラックダウンで台無しになりかねない。スウェディンは、誰にも真似できない技術を駆使し、最高の仕事をしさらに『スリラー』を高める。
 この後も、マイケルはエンジニアのスウェディンに絶対的な信頼を置いている。
 
 ポール・マッカートニーとの「The Girl Is Mine」は最優秀ポップグループでノミネートされますが、ポリスに敗れます。これは仕方ないかな。
 
 最優秀R&Bインストゥルメンタルに「ビリージーン」(対象は、クインシーとストリングのアレンジを担当したジェリー・ヘイ)がノミネートされますが、ハービー・ハンコックの「Rock It」が受賞。「ビリージーン」は、ボーカルのないインスト部分だけでも高い評価を得ているのです。クインシー曰く「ビリージーンは、いろいろな音を、何本もの糸のように集めて作られた」と。
 
 最終的に、『スリラー』関連でマイケル・ジャクソンは7部門を受賞します。さらに翌84年「スリラー」のショートフィルムが最優秀ビデオアルバムを受賞しています。
 さらにもう一つ特別な受賞がありました。

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《 最優秀児童用レコード 》
   「E.T. E.T. The Extra Terrestrial」 (E.T.ストーリー・ブック)
  Producer  マイケル・ジャクソン / クインシー・ジョーンズ
 
  マイケルはこの賞を獲得し、すごくうれしそうだった。
 「子供の無邪気さは想像力の種だ。子供はいろいろな事を我々に教えてくれる」とマイケルはいう。彼の発言には、子供のもつ神秘性を言及するものが多い。普通の幼少時代をもつことができなかった彼は、子供を通じて失われたものを見出そうとしているのかもしれない。

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 このアルバムは、大ヒット映画「E.T.」のストーリー・ブックで、マイケルは、ナレーションとこのアルバムのために制作された「Someone In The Dark」という曲を歌っている。しかし、『スリラー』と平行して製作されたこのアルバムは、クインシーも賭けだったと述べているように、スケジュール的に相当大変だった模様。
 さらに発売元の間でトラブルが起きる。『スリラー』の発売元のCBSが、「スリラー」の発売前に、この「E.T.」のアルバムが出回る事はアルバムの販売の妨害になるとして、MCAに発売の差し止めを求めるのです。結局、このアルバムは後に販売停止となります。
 クインシーも壇上では「このアルバムの発売を妨害したものには礼はいいたくない」と述べている。結局、損をしたのは我々ファンで、今でもこのアルバムはマイコーファンの間では、コレクターズ・アイテムとしては貴重。ロッド・テンパートンによる「Someone In The Dark」は永年超レア曲でした。しかし、現在のスリラーの特別盤には「Someone In The Dark」収録されています。
 しかし、ストーリーブックはマイケルによるハートフルでエモーショナルなナレーションに魅了されますし、「Someone In The Dark」もStoryにそってリリックがちがっていて貴重な作品となっています。クインシーとマイケルは、スピルバーグにも深い感謝の言葉述べています。
 
 以上、長々と紹介しましたが、この時のグラミーでマイケル・ジャクソンは1回の賞で史上初の8部門受賞を成し遂げるのです。ずっとグラミー賞を見続けていますが、ひとりのアーティストがここまで賞賛される回は見たことがありません。現在、グラミー賞の部門数は、カテゴリーが細分化されているのもあり110位まで拡大しているそうですが(また78部門に縮小)、83年当時は67部門だそうですから、より狭き門の中での8部門受賞です。
 しばらくグラミーでの一アーティストの最多受賞記録でしたが、2000年にカルロス・サンタナが9部門(主要3部門も制覇)で受賞しますが、サンタナ名義としては8部門となり、マイケルと同記録。
 マイケルも、ブルース・スウェディンが、『スリラー』で最優秀録音賞を受賞しているので『スリラー』関連で8部門の受賞。さらに翌84年「スリラー」が最優秀ビデオアルバムを受賞しているから9部門じゃん。
 
 この受賞式でのマイケル・ジャクソンの壇上のスピーチに彼の人間性を如実に感じます。とてもシャイな人なんだな~って所も。多くの人が、マイケル・ジャクソンのアーティスト性だけでなく、こそ人間性にも魅了された一夜となります。
 プロ中のプロにも称賛された『スリラー』はやはり素晴らしい。

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☆年度が違えばポリス(スティング)のグラミーになっていたかも。
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